第5話 転生して初めての学校行事
入学して1ヶ月が経ち、授業の方は問題なくこなしていたが重要な問題にぶち当たっていた。
友達が出来ない…というのも入学式から皆顔馴染みで集まってその中に友達の友達が混ざるという形で新しい大きなコミュニティが形成されていく中、俺は誰からも声がかからないし、自分で動くこともなかったため現在はソロプレイヤーとなった。
隣の物静かなシルビィさんだって休み時間席に来る友達を作って仲良く話しているのに俺ときたら机で頭を抱えている。
頭の中でどうしてこうなったと考えた時、いろいろと理由が浮かんだが、やはり1番は精神年齢が転生する前と合わせたら20歳を越えているから、この世界の小学校低学年ぐらいの子とどんな会話すればいいか分からないということが大きいだろう。
さらに、俺は基本家族と過ごすか部屋で本を読んでいたため元の世界の近所の公園に出掛けてそこにいる他の子と一緒に遊んだりとかそういうイベントがなかった。
流石に陰キャだった頃の俺より酷い状況になる訳にはいかないと思ったため、来週行われる初めての学校行事そこで友達を作るべく作戦を練ることにした。
その学校行事というのが学園の裏山をグループで登り途中のポイントでスタンプを押してもらい頂上を目指すというものだ。そのために男女6人1組のグループを事前に担任が作っていて、俺と同じグループの人と仲良くなり友達を作り、惨劇を回避する。
そして、ついに作戦を実行する日が来た。
俺が今回考えた作戦は手作りお菓子で仲良くなろう作戦だ。この作戦は山登り中のちょっとした休憩時間にさりげなくお菓子作ってきたんだと話しかけてそこから仲良くなろうという作戦だ。俺のグループの女子は隣の席のシルビィさんとシルビィさんのお友達のサフィアさんとメイティアさんで男子はコズメルくんとロームくんだ。皆名前だけ知っててどういう人物なのかはよく知らないので今回のグループ活動で仲良くなって知っていきたい。
当日になった。皆それぞれ服装は山を登るためにしっかりとした服装をしていたが、それぞれ個性が出ていた。
シルビィさんは青を基調として落ち着いた感じの格好をしている。サフィアさんは反対に赤を基調とした格好をしていて短いズボンにタイツのようなものを履いていてパーカーみたいな上着を着てスポーティである。メイティアさんは淡い緑で袖の長い服を着ていて本人の見た目のイメージだとほんわかした感じである。
一方男子の方はコズメルくんは黒いジャケットを着ていてロームくんは前世のネットでよく見たカーキのズボンに少しダボっとした上着を着たオタクな感じの服装だ。因みに俺は上下青のジャージに運動靴だ。これが前世で行った普通の遠足だったら普通に楽しめたのだが、前世と決定的に違う点がある。それは腰に帯剣をしていたり、杖や人によっては槍や斧を持ってきている点だ。
学年主任の先生が前に出て話を始める。
「今日の授業は初めての課外学習でこの裏山を武器を持って登っていただきますが、武器を使うことはありません。なぜなら、この山には魔物は出ないからです。では、何故武器を持って登るかと言いますと、将来的に武器を持ってグループでこういった経験をしていると役に立つからです。なのでグループの人と協力して登りましょう。因みに1番速く登ったグループにはご褒美があるから頑張ってください。」
長い学年主任の話が終わりいよいよ出発の時が来た。俺はグループの皆に話しかけた。
「皆!今日のグループ活動1番速く登れるように頑張ろう!」
「はい頑張りましょうクリストファー様!」
コズメルくんが返事をしてくれた。ん?様?
「ちょっと待ってなんで俺のことを様って呼んでるの?」
「それは自分達のクラスの中で1番家格が高いからですよ」
「え?そうなの?」
「知らなかったのですか?」
困惑したコズメルくんとのやりとりの後、真面目なロームくんが教えてくれたのだが、俺の家はどうやら公爵家らしい。
うちのクラスには他に公爵家はない上、俺の家はアースライム王国での影響力は大きいので入学式の時、クラスメイト達は親から失礼のないようにと口酸っぱく言われたため、皆俺に失礼を働かないように気をつけてしまいそれによって俺がクラスで孤立することに繋がったのだ。だから俺は言った。
「俺は別に気にしないし、そもそもこの学校の校則で生徒は皆対等だろ?俺のことはジェニスと呼んでくれていいし敬語とか使わなくていいから仲良くしてほしい」
「そうか!なら俺も普通に話しかけるよジェニス!コズメル・ローガだよろしく」
「ジェニスくん分かったよ仲良くしよう!僕の名前はローム・クライメント僕とコズメルは幼なじみでねコズメルが失礼をしたら僕に言ってくれるといい。」
「おいローム!それはどういうことだ」
2人が言い争いをしてる横からサフィアさんが恐る恐る話しかけてきた。
「私達も普通に話して大丈夫でしょうか?」
「うん大丈夫だよ!皆同学年なんだから敬語は必要ないよ!」
「分かったわジェニスって呼び捨てで呼ぶわ!サフィア・アイリスよ!よろしく」
「では、私も挨拶させていただくわメイティア・ノービスよよろしくね」
「あ、あの私はシルビィ・クリスタラーちゅっツです…その、ごめんなさい」
「シルビィさんは初日に挨拶したから分かるよ!まずは名前を噛まずに言えるくらいには仲良くなろう!」
「はっはいその緊張しちゃってごめんなさい」
「緊張すると思ったように喋れなかったりするもんね大丈夫だよ怒ってないから、だから謝らないで」
「は、はいごめ、ありがとう」
「よし、長話しちゃったし、早速山を登ろうか!」
それからは早かった。コズメルくんとロームくんも女性陣と自己紹介をして皆で話しながら山を登った。途中で俺が用意したお菓子を食べたら絶賛された。皆の好感度も今日で上がっただろうし目的を達成出来た。因みに順位は学年で4番目だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます