第4話 転生して初めての学校と出会い

 屋敷に帰るなり両親が俺たち兄弟に抱きついてきて、色々と言っていたがちゃんと聞き取れなかった。


 両親が落ち着いた後、何があったかミトリさんとテティスさんが説明していたらしく当然俺が盗賊に魔法を使ったことや、盗賊の1人を倒すために無茶をしたことも話されていたため説教を受けた。


 いろいろあって、自分の部屋に戻るのは夜遅くなった俺の後ろをついて来たミトリさんが話があると言うので自分の部屋で話をすることになった。ミトリさんと一緒に部屋を戻ると深い深呼吸をしてから俺に話を始める。


「話というのは魔法のことです。坊っちゃまが魔法の本を読み漁っていたのは知っていましたが、独学であそこまで使えるとは思っていませんでした。加えて身体強化が入っていたとは言えあれほどの高い身体能力坊っちゃまは何か隠しておりませんか?」


 なかなか鋭くて黙り込んでしまう。その様子を見たミトリさんが慌てて声をかける。


「坊っちゃま私は怒っていませんからどうか悲しいお顔をしないでください。お世話を命じられたとかそういう理屈ではなく、私はただ坊っちゃまのことを知りたいだけなのです。」


 俺はミトリさんに人より魔力を持っていて素の身体能力も明らかに同年代とは違うことも異能の力も明かした。


「坊っちゃまのお力は素晴らしいです。これから坊っちゃまは歴史に名を残すほどの活躍をなさるでしょう。ですが、いくら同年代より突出した能力をお持ちになっているからと言ってもあなたはまだ子供なのです。なのでもうあのような危険なことはおやめください。それと、坊っちゃまがアルステラ学院に入るまでの間私が坊っちゃまに魔法の使い方と、剣術それから護身術をお教えします。」

「ん?僕学院に通うの?いつから?」

「坊っちゃまが7歳つまり3年後でございます。」


 すっかり忘れていた。前世では陰キャラで同じ陰キャラのクラスメイトとアニメやゲームなどの話をしていたことを思い出す。


 しかし今いるこの世界では、そもそも俺は家族と使用人達以外とはまともな会話もしたことないので、ぼっちにならないか心配になった。

 ミトリさんの説明では初等部、中等部、高等部とあり初等部は5年で中等部と高等部は3年通うらしい。


「坊っちゃま何か他に質問はありますか?」

「あっそういえば僕のことについた話した時そんなに驚いてなかったけど他にも僕のような人がいたの?」

「もちろん坊っちゃまの隠された才能には驚かされましたが、私が以前王国の騎士団に所属していた頃に今の国王が坊っちゃまのように幼少期から秀でた才能をお持ちになっていたそのおかげであまり驚かなかったのです。」

「なるほど王様ってすごいんだね!ありがとうもう大丈夫」

「坊っちゃま明日から訓練を始めますので今日はもうお休みくださいそれでは失礼します。」


 ミトリさんは話を切り上げて部屋から出る。ミトリさんの話を聞いて俺は一度この国の王様に会ってみたいと思った。


 次の日から地獄のようなトレーニングが始まった。早朝から屋敷周りの走り込みを100周したり模擬戦用の剣で素振り10000回だったり、かなりハードで日が暮れて夕食の時間になっても終わらなく、ヘトヘトになっている俺の様子を見たミトリさんが、涙目で俺に謝り走り込みとかの回数が減り現実的になった。


 ミトリさんとトレーニングして1年経ち俺が5歳になる頃双子の妹が生まれた。名前は姉の方がアニス妹の方がローリと名付けられた。前世では妹がいなかったので俺は兄のアイラス喜びそれからよく双子の妹達に会いに行っていた。


 それと5歳になった頃に兄が学校に入るまでの間勉強を教えていた家庭教師のジェムさんが俺に勉強を教えてくれることになった。

 この世界の歴史や文化、それから一般的なこの国の言語と文法と前世で言うところの算数また貴族の礼儀作法などを教えてもらって勉強が終わるとミトリさんとトレーニングし、家族で夕食の後寝るまで家族と話したり妹たちと遊んだりする毎日を過ごした。


 そして入学式の日になり、学校に通う時が来た。制服に着替えて馬車の止まってる入り口に向かうと妹2人と母と使用人が見送りに来ていた。自分の領地から学園は距離があるため寮に通うことが決まっていたのでしばらく家族とはお別れだ。


 寮生活をする生徒は使用人や側使いを何人か自分の部屋に置いてもいいそうで俺のお世話を任されたミトリさんと一緒に馬車に乗って、途中の町で宿に泊まって休みながら走ること2日でアルステラ学院に着いた。馬車の停留所で降ろしてもらってすぐやって来た案内の人に誘導されて説明を受け、学校の入り口まで行くとクラス表が張り出されていたので自分の名前を探すと1-Aと書かれていた。


 1-Aに行くと半分ほど席が埋まっており、もう何人かの生徒はもうクラスメイトと仲良く喋っていた。視線を動かすと前に座席表が貼ってあったのでそれを見て自分の席へ向かうと端っこの1番後ろの席だった。


 隣の席の子は水色の長い髪の緊張しているのか、少し落ち着きがなく周りをキョロキョロしている少女だった。前の席の子はまだ来ていなかったので意を決して隣の子に挨拶と自己紹介をした。

 

「あっあの初めましてジェニス・クリストファーと申します。クラスメイトとして1年間よろしくお願いします」

「ひゃっ!あ、あの私シ、シルビィ・ク、クリスタラーツですこ、こちらこそよろしくお願いします」


 お互いぎこちない挨拶をしたら会話が終わり、教室にある時計が入学式の時間を指す10分前になった。席は俺の前以外は全部埋まっていた。ドアが開き大人の男性が入ってきて自己紹介を始めた。

 

「皆さん集まっていますね私の名前はカルス・シュトゥルツと申します。これから1年間あなた達Aクラスの担任を務めさせていただきますよろしくお願いいたします。それと残念なことに今日1人欠席の連絡が来ている生徒が居ますので、彼が登校してきたら仲良くするようにお願いします。さて早速ですがこれから講堂で入学式を行いますので、皆さんには移動してもらいます。私が案内しますので皆さんちゃんと私に着いてくるようにでは移動します。」


 そう言って先生が移動を始めたので1-Aの生徒達も席を立ち廊下に出る。先生の後を着いていき講堂にある席に皆座ると他のクラスもぞろぞろと集まってきた。


 入学式が始まると学園長からの挨拶と初等部の生徒会長が出てきて新入生歓迎の言葉を話す。睡魔と戦っていたら入学式が終わり、また教室に帰ってきた。教科書の配布と後日選ぶ選択授業について説明される。


 選択授業は騎士団に入るために必要な知識や身体能力の向上や技術を学ぶことが出来る戦闘術、魔法師団や魔法省に入るために必要な知識や攻撃魔法などを学ぶことが出来る戦闘魔術、魔法省や治癒術師に必要な知識や治癒魔法や支援魔法を学ぶことが出来る非戦闘魔術、商人ギルドや商会を継ぐ生徒のために必要な算術などが学べる商人術、貴族の跡取りや領地経営をするために必要なことを学べる貴族術、音楽、美術の中から3つ選ぶというものだ。担任が言うには初等部の選択授業は中等部以降の選択授業の触りらしいので深く考えずやりたい授業を取ればいいらしい。

 説明を受けた後、帰りの挨拶をして寮に帰った。

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