第2話 転生して初めてみる街
ミトリさんに抱っこされて馬車を降り初めて街を見ると人が多く活気にあふれていた。馬車の停留所が街の真ん中に設けてありそこから店を構えている通りや露店が並ぶ通りがあって俺はすごく興奮していた。
「坊ちゃま方この後の予定ですが、お腹がすいているでしょうしお昼ご飯にいたしましょうクリストファー家御用達の食事処がありますのでそこで召し上がって頂きその後旦那様からのおつかいという流れになっております。」
「他のお店で何か食べちゃだめ?」
「安全上の観点からクリストファー家の領地であっても指定の場所で食事をするようにと旦那様がおっしゃっていましたので申し訳ありませんが今回はだめです。」
この世界の普通の料理を食べたいと思ったがこればっかりは仕方ない・・・出かけたいと我侭を言って無理やり両親からお使いという名目で外出許可をもらってきているのでこれ以上はさすがに望みすぎだなと俺は諦めた。
店に着いた。貴族の親が決めた店なだけあってパッとみてゴージャスな高級料理店でテーブルマナーとかドレスコードとかそういうのがありそうで少々緊張した。ミトリさんは俺を抱っこしたまま普通に扉を開け、中に入ると従業員一堂が並んで挨拶してきた。
「ここの店主のギランです。本日は領主様のご子息方とその従者の方々の来店ありがとうございます心行くまで料理をご堪能くださいませ。」
店主のギランはそう言った後厨房の方へと下がっていった。
「本日の昼食はコース料理となっておりますので苦手な料理があったら教えてください。」
「大丈夫だよ普段の食事は今のところ好き嫌いないしそれにここのお店の人たちが腕によりをかけて作ってくれてるのだから美味しいに決まってる。」
「坊ちゃま偉い可愛い優しい最高(好き嫌いをしないなんて偉いですぼっちゃま)」
「ま、まあともかくさっさとご飯食べてお使いを済ませてここを見て周りたい」
ミトリさんは頼りになるがショタコンぽいから警戒は必要だとジェニスは考えた。
それから頼まれていた買い物を済ませ(ミトリさんたちがほとんどやってくれた)帰りの馬車が出る時間まで俺が主体で街を見てまわった。
転生特典の自動翻訳のおかげで商品の名前は分かったが、価格に関しては日本円で翻訳はしてくれないのでどれくらいその商品に価値があるかはよく分からなかった。
なので、ミトリさんに説明を頼んだらこの国の通貨などを教えて貰えた。そうしてこの街で過ごすうちに門限の時間が来たので馬車で屋敷まで帰ることになった。
帰りの馬車の中で一緒に帰る兄と少し会話した後、露天で買った魔道具なるものをいじっていた。この魔道具は魔力を込めると風が出て切り替えのスイッチがあり、温風と冷風が出るのだ。まるでドライヤーのようなものだなと思ったので買った。どういう原理で動いているのか分からないがこの魔道具にも魔石が入っているらしい。
突然馬車が止まった。
少しして馬車の窓が叩かれる。ミトリさんが恐る恐る窓を開けると護衛の騎士がチラッと見えた。ミトリさんと騎士の人が会話した後、ミトリさんが俺たちに声をかけてきた。
「坊っちゃま方道に獣が出たようなので少し出てきますテティス任せましたよ」
そう言って馬車を出て行った後、獣の鳴き声のようなものが聞こえた。護衛とミトリさんが戦っているのだろうと思い窓を開けて外を見たら、ミトリさんが熊のような獣の首を跳ね飛ばしていた。
騎士たちが獣の死体の周りを囲い解体作業をしている。恐らく道の邪魔になっているのと獣の死体から使えるものを持ち帰ろうとしているのだろうと考えていたら兄が呟く。
「あれは魔獣じゃないのなんでここにいるんだ?」
次の瞬間、護衛達の方から悲鳴が聞こえた。
悲鳴のした方を見ると護衛数名が矢のようなもので撃たれて1人また1人と倒れていったがすぐに護衛の魔法使いが遮蔽物を作り、そこに生き残った護衛達が隠れる。
すると、道の先の崖の上から馬に乗った男たちが降りてきた。それに合わせて左右の草むらからも男たちが現れた。
この辺を拠点にしている盗賊であることは言うまでもない。盗賊の頭と思わしき男が前に出て喋り出す。
「俺たちはこの辺を根城にしている盗賊団カルメロだ。無駄な抵抗はやめて大人しく金目のもんとそこの馬車にいるであろう貴族様を置いていきな。」
それを聞いたミトリがすぐに言葉を返す。
「どのみち目撃者を生かして帰すつもりはないでしょうに、盗賊ならば奪ってみてはいかがですか?まあ私に全員斬り伏せられるのは確定したのですがカルメロの頭目ロベルト」
「随分強気な女だな!嫌いじゃあない。それに奴隷商に売ればそこそこいい値が付きそうだなハーフエルフさんよ」
盗賊の頭ロベルトの言葉に合わせて、盗賊たちが動き出し戦闘が始まる。
不愉快だ転生して初めてこういった出来事に遭遇した俺だが不思議と恐怖はなかった。
それどころか、こいつらをどう倒そうか考えている自分がいる。
「ミトリさんはああは言っているが護衛が何人かやられた状態であの数を相手にするのはいくらなんでも無茶では…」
「大丈夫ですよお坊ちゃま方、助けはすでに呼んでありますしミトリさんは王国騎士団で3本の指に入る実力者でしたから、それに私がお坊ちゃま方をお守りします。」
不安を口にした兄にテティスさんが優しく声をかけ、杖を取り出して呪文を唱える。
「プロテクションフィールド!」
呪文を唱えた途端馬車の周りをバリアのようなものが囲う。
俺は窓から戦闘の様子を見ていた。
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