第47話 おっぱい様と、穴




 唐突な告白。


 目の前で美少女が、しかも、生まれて初めておっぱいを触った(ここ重要!)美少女が。

 顔を赤くしながらマジのトーンで、僕に。


 ……つ、付き合ってほしいとか言ってたんですけど!?!?


 正直に告白しよう。

 僕は未だかつて、女子から『付き合って』なんて言われたことはなく、そしてこれからも永遠に縁のない言葉だと思っていた。

 ……それが、なんだ。


(う、嘘だろ一番最初に除外したはずのありえない仮説、『コトリさんは実は僕のこと好きで、関係持ったと誤解した宮歌さんに嫉妬したから、既成事実を作りにきた説』が実証ッ!? ナニコレッ!? モテ期ッ!?)



 一言でいえば、グッときてしまった、そういうことなのだ。

 

(……やべー、ちょ、えー! どうしよう、告白されるってこんなにドキドキするものなの!? てか、コトリさんが急に、めちゃくちゃ可愛く見えてくるんですけど! ……こんなの、はじめてなんですけどッ!) 


 バクバクと急に早鐘を鳴らしだす心臓と、


(……いや落ち着け僕、まだ出会って間もなすぎるし! 相手の事何も知らなさすぎるからッ! ……まぁでも、コトリさんいい人そうだし、常識とか通じそうな人だし。……それに)


 ぐるぐると高速回転しすぎた挙句疲れ切った脳が、



 ……何より、もう、おっぱい様触ったし、いっか。



 本能のままに決断を下しかけたその時。


「……まゆりとッ!!!!」



 ………………。


 …………。


 ……。


 ……。


「――まゆりのこと、もらってやってほしいんだッ!!」



 コトリさんが言った言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。


「……ッ!? え、何なに、ユメトッ? キミ、なんで急に泣いてるんだいッ??」

「……いえ、生まれて初めて経験する、自らの純情が本格的に弄ばれた瞬間に、心が向き合いきれず、つい……」

「……何かしちゃった!? ごめんッ! よくわからないけれど、許してほしいッ」


 心底心当たりが無さそうな様子でコトリさんが言う。

 その様子を見た僕は笑顔で涙を流しつつ、


「いえー、やっぱなんでもないですー、続けてくださいー」

「ほ、本当になんでもないのかい? ……その、大丈夫?」

「大丈夫ですー! そして頼むから今だけは、僕に優しくしないでーッ!」

「わ、わかった。……じゃあ、とりあず話を続けるよ?」

「どぞー!!」


 ……穴があったら入りたい。

 

 生まれて初めて僕はそう思った。

 そんな僕へコトリさんは戸惑いながらも、


「……さっきの話の、理由、なんだけど」

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