第24話 つきあってください、おっぱい様
「……悪い? もとはといえばこれも全て、現野くんのせいですからね!?」
「ちょっと待て。何でそうなる!? 流れ的におかしすぎるわ」
「言ったじゃないですか私、どうすれば乳首ドリルできるか真剣に悩んでるって。なのに現野くんてば全然相手にしてくれないから」
「え、つまりなに? 僕への当てつけで付き合ったってこと!?」
……それってつまり、こいつ、……僕のことを?
「全然違います! 何ですか当てつけって! 当てるのは乳首だけにしてください!」
「ですよねー、わかってました、そしてどんなことがあってもお前にだけは乳首当てないから安心して」
「ぐ、なんてひどいことを! とにかく、この話は乳首ドリルしたくて悩んでた私のもとへ舞い込んできた、千載一遇のチャンスなんですよ!? 何も助けてくれなかった現野くんに、とやかく言われる筋合いなくないですか!?」
眉毛を吊り上げて怒った様子の宮歌さんに、僕は若干たじろぐ。
たしかに言ってることは一理あって、こいつの言う通り、ことさら乳首ドリルの実現だけに関すれば、合理的と言わざるをえない。外野の僕がとやかく言うことではないんだろう。
……そんなこと僕もわかってる、けど。
「だ、だってそれってつまり……か、カラダだけの関係ってことだろ!? ……そんなの、なんつーかよくないじゃん!!」
言いながら、自分の顔が真っ赤になるのが分かって恥ずかしい。
そんな僕へ、宮歌まゆりは目を輝かせて答えた。
「乳首ドリルのためですよ!? やぶさかじゃないですね!」
「マジで!?」
「ハイッ! 乳首ドリルのためですから」
「じゃ、じゃあ僕がもし、アイツより先に『付き合って』って言ってたら、したの!? オーケーしたのカラダだけの関係でも!?」
「……? なんで現野くんが出てくるんですか? ……しかもそんな前のめりで」
……やべ、しまった。
妬みと欲望で変なこと言ってしまった。
「ハッ、ななに言ってるんだ宮歌くん、かっかか仮にの話だよ仮に。そんなことなくなくなくない?気のせい気のせい」
「はぁ、それならよいですが。私てっきり現野くんがあれだけ乳首ドリルをけなしてたくせに、私のおっぱい触りたさに手のひらを返したのかと」
「うんー、大丈夫、安心してー、思ってないないこれっぽちもー」
僕は涙を流しながら作り笑顔を張り付けて答える。
「……若干テンションが気持ち悪いのが気になりますが、まぁいいでしょう。……いやぁそれにしても幸運でした。こんなにも早く、乳首ドリル好きな男子が見つかるなんて」
「……え」
宮歌さんの発した言葉に、僕は何やら引っかかりを覚える。
「……川上って乳首ドリル好きなん? 何それひくわー、たった今僕の中で川上のイケメンイメージが音を立てて崩れたよ」
「まぁ、人は見かけにはよらないということでしょうね」
「お前にだけはいわれたくないな。……つか本当なのか? 僕の知る限り初耳だけど。 ……はッ、まさか陰キャの僕には存在すら知らせてくれない秘密のクラスライングループがッ!?」
「心配しなくても、そんな被害妄想な情報源ありませんから。……というか、情報源も何も、彼とは初対面ですし、あなたもきいていたじゃないですか、ついさっき」
「……え?」
「……え?」
「……いやあ……あの愛の告白には、そんな情報は含まれてなかった気がするけど……」
「……はぁ」と宮歌さんはため息をつき、少しウンザリした様子で、
「何度言えばわかるのですか現野くん。さっきも言った通り、私、ただ、つきあってくださいと言われただけで、愛の告白なんてされてません」
「いやいや自分で言ってることの矛盾わかんないんすかアンタッ! 付き合ってくれなんて完全に愛の告白……」
「ああ、もうッ! しつこいですね! 私はただ……」
彼女はいたって真剣な表情で、
「――『突き』合ってください、と言われただけですッ!!」
「………………………」
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