第22話 おっぱい様と告白

 


 確か名前は、川上、だったっけ。


 隣のクラスの男子生徒で、体育の時合同になるから、僕だってちょっとは知っている。

 成績はぱっとしないけど、顔がイケメンだからカースト的には割と上位、みたいな、僕等根暗ぼっちには嫉妬怨念の対象そのものみたいな存在。

 僕は個人的に話したこともないし、テレビでイケメンを見て「あーイケメンだな」と思うのと同じくらいの感覚で眺めている。

 ただ、その程度の間柄だったはずなのだけど。


「えと、何、かな?」


 僕が困惑しつつ若干の緊張で尋ねると、


「……え、……誰?」


 ピシッと、僕の全てが凍り付く。

 ……はい、来ましたー! ぼっちの勘違い! 自意識過剰ッ! チョー恥ずかしいんですけど、消え去りたいんですけど!


 先ほどの数倍涙目になって恥ずかしがる僕。

 そんな僕を完全無視した川上のクソ野郎は、


「宮歌、君と二人で話がしたい。……大事な話だ」


 しかし宮歌さんは、

「はい、わかりました。……それで、話ってなんでしょうか?」

「あ、だからその、できれば二人きりになって……」

「いえ、できれば今、ここで聞きたいです。休み時間ももう終わってしまいますし、授業に戻らないと」

「いや、それは…」

 言いかけた川上は少し迷ってから、

「……わかった。言うよ、今、ここで」


 そして、彼は息を吸い、


「――――宮歌ッ!」


 大声で。


「――俺とつきあってくれ!!」



……って、コクったあああああああああああああああああッッーーーーーーー!?!?



 突然の告白に僕は衝撃を――、



「――ハイっ、いいですよッ!!!」



 ……。



(―――――えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ―――――――――ッ!?!?!?!?)


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