第13話 おっぱい様、……触ります

(き、キターーーーーー!!)


 僕が目を閉じたのを確認したのか、宮歌さんが続ける。


「次は、シャツを、脱いで欲しいです」


 ……ん、シャツ?

 若干その順序に違和感を覚え、僕はボタンに伸ばしかけた手を止める。

 そんな僕の様子を、躊躇していると思ったのか宮歌さんは、


「……いや、ですか?」


「ち、違うんです! なんというかその、自分で先に脱ぐという想像をしてなくて!」

「いいんです。乗り気じゃない方が普通だってわかってます。……でも、こんなこと頼めるの、あなたしかいないんです……!」

「み、宮歌さん……」

 そして彼女は、そっと僕の耳に唇を近づけ、震える声で。


「その、お願いです」


「わ、わかりました!」

 完全にスイッチが入った僕は、ボタンを半ば強引に外し、シャツを放り投げる。

「……」

「……」

 そのまましばらく無言が続き。


 耐えかねた僕が、「あの……次は……」


「…………そのまま、動かないでください」

「は、はいッ!」

 全身を硬直させた僕の耳に、

「じゃあ……」

 ド直球な発言が飛び込んでくる。



「……大事なとこ、触ります」



「はい、って、えええええええええ――!?」

「いきます!」

「ちょ、ちょちょ、宮歌さんッ!? まッ……」

 

 ピタ、と、彼女のきめ細やかな指先を、僕は感じた。



「はんッ! ちょ、……あっ……そんな」




 少し冷たいその指先は、僕の大事なソレを、愛おしむようにもてあそんで、


 ……ん?


 そこで、僕の身体と頭の認識が食い違う。


(……あれ、なんか思ってたところと違う? 大事なところってもっと下半身にあると思ってたのですが。……それよりは、なんというか、胸郭というか、心臓というか……)


 パチッと、僕は思わず目を開ける。


 宮歌まゆりは、相変わらず金髪巨乳美少女で。

 相対する僕は、上半身裸で向き合っている。


 しかし、尋常じゃないのは彼女の表情だ。

 その紅潮した頬や、緩み切った口もとからよだれが今にも垂れんとしていて、普段とは似つかわぬ、恍惚ともいえる表情だ。

 その宮歌さんの華奢な両手が僕に伸びていて、

 細い人差し指が二本、横方向の回転を伴って突き出されていた。


 ……横方向の回転?


 まるで、摩擦によって何かをえぐるための工具のような動き。

 その人差し指が伸びる先は、

 ……僕の、




「――って、乳首ドリルぅ――ッ!?!?」




 そう。

 金髪美少女改め、変態・宮歌まゆりは、嬉々とした顔をしながら、ひたすらに。



 僕の露出した乳首へと、乳首ドリルを繰り出していたのです。

 

 

 

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