第182話 もう二度としません!

「ダメだダメだダメだ、ダーメーだっ!!」


 ユリウスの猛反対に会う。


「ダメに決まっているだろう!」


 いや、俺だって両手を上げて大賛成ってわけじゃないけど。


 村に住めないだろうし。


「カリン殿に何かあったらどうするつもりだ?」


「いや、そこまで悪人じゃ……」


「なぜそう言い切れる⁈アイツらはお前を殺した罪や、その他の乱暴狼藉で町から追放された奴らだぞ」


 そう言われちゃうとなぁ。


 俺はボロとダズンを呼んだ。

 俺とユリウスの前に正座させる。


「2人はもう、悪い事しないよな?」


 聞かれた方は目を丸くしている。2人は目を合わせるとうなずき合い、俺達に向き直る。


「へい!もう二度としやせん!」


 ユリウスがガクッと体勢を崩した。そのまま俺の襟元をつかんでくる。


「お、お前はこの口約束を信じるのか?」


「……うん」


 ダメかな?


 俺は、ボロが仲間の為に涙を流していた姿やダズンをかばおうとした姿を見ていた。それに、ダズンは正気に戻った後の様子を見る限り、他人の言う事を素直に聞いているように思えた。


「何が言いたい?」


「つまり、境遇が良ければこいつらも悪い事しないで生活してたんじゃないかなって思うんだ」


 ボロとダズンの目が輝く。


「それに、女神様に会って改心したんだよ」


 雷撃食らったしな。

 カリンに対してビビっているのが見て取れたから、多分2人はカリンに向けて女神様へのおそれを持って接すると思う。


「……詭弁きべんだな。だがフォリア様の御加護がカリン殿にある事も事実だ。よかろう、ひとまずは身柄を預ける」


 しかし、と彼は続けた。


「カリン殿をしっかりお守りしろよ」


「なんだよ。そんなに気になる割に、俺とカリンが2人で丘に住むのは反対しないだろうが」


 するとユリウスはふん、と鼻を鳴らし不敵に笑った。


「お前はそんな度胸がなさそうだからな」


 何だと!

(いや、確かにそんな度胸は無いですけど)


 丘の上のカリンに颯爽と手を振ると、ユリウスは深緑のマントをひるがえしながら騎乗した。


「では、行ってくる」


「あ、ユリウス!」


「何だ?」


「コイツらの手配なんとかしてくれないかな?」


「?」


「いや、俺の殺害の罪くらい消してやってよ。俺、生きてるし」


「……お前はその甘さが命取りになるぞ!」


 若き深緑騎士はそう吐き捨てるとひづめの音高く去っていった。




 つづく


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