第142話 魔物と戦うには!


「おお!これがフォリア様のお姿か!」


俺が昨夜スマホで撮った白金のフォリア(写真の顔だけ見せている。ゆるふわランジェリー姿は見せられないッ)だ。


「カリン殿に宿っているだけあってよく似ている。美しいな」


にやけている。

そりゃそうだろう。


この『絵』を寄越せと言われたが、これはやれん。


「チッ…」


「お前、舌打ちしただろ?」


「ふん、騎士はそんなことはせん」


このやろう。


そんなやりとりを俺達は丘にあるカリンの小屋の前で行なっていた。


今日は朝からあんな事があったせいか、作業場には誰も来ていない。


カリン1人が座って、3人分のお茶を入れてくれていた。


「今度フォリア様が現れたら、絶っっっ対に私を呼ぶのだぞ」


「わかったわかった」


適当にあしらいながら、俺は作業場の椅子にかけた。ユリウスも隣に座る。


「…さて、どうなるかな」


「お前、他人事ひとごとだと思ってそう言うのはやめろ」


「ふん、あの青年が言うことも最もだ。飢えに苦しみ、なんとかそれをしのぐ毎日。せっかく手に入れた食糧は来春のために節約。しかもまた魔物が来る。逃げ出したくなるのもわかるな」


むう。

俺が村人達に我慢させすぎたか。


けど、俺の部屋から出る物を売って食糧を買うだけでは、それこそ何もならないだろう。


「ヒロキ、皆は不安になっているだけだと思います。銀聖水であの人達も近づいて来なかったのですから、効き目がないわけではないでしょう」


カリンも少し不安そうだ。

今まで村の中でこんな不穏ふおんな事はなかったから、余計に心配しているのだろう。


「そうだよな。今まで頑張って来たんだから、ここで投げ出したらもったいないよな」


ところで、と話を変える。


「グロスデンゲイルとやらに有効な手が1つあるんだ」


俺がそう言うと、ユリウスが興味深げにこちらを向いた。


「なんだ?」


「銀だ」


「ああ、確かにな」


ユリウスもうなずく。

銀はこの世界で魔除けとして珍重されている。(銀貨は混ぜ物が入っている。真銀貨は純銀なので効果がある)


「騎士団にはそう言う道具はないか?魔物を倒す為の武器とか」


ユリウスは形の良いアゴに手を当てて考えていたが、答えは期待していたようなものでは無かった。


「あるにはあるが…簡単に貸し出されるようなものでは無いぞ。それこそ神殿都市フォルトナベルグを守る為のものだからな」


それは剣の刃ややじりに銀を仕込んだものや、銀をあしらった防具などから身につける御守りまである事がわかったものの、一般人に貸すようなことはないそうだ。


「お前は借りられないのか?」



つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る