第134話 女神様と俺の葛藤!

——私はヒロキがそういう人だと、知っていましたよ——。


その晩、ベッドに入って横になったもののカリンに言われた言葉がずっと耳に残っていた。(あと彼女の笑顔)


それはどういう事かと聞き返したが、カリンは「ふふっ」とまた笑ってそのままになってしまった。


寝付けないままごろごろとベットで寝返りを打つ。


多分——本当は気弱だとか、害がない男だとか、だから戦えないとか。


良い方に取れば——人を傷つけないとか?




そんな事を繰り返し考えているうちに俺はいつの間にか眠りに落ちていた。


真っ暗なあの空間へといざなわれるかのように——。




「久しぶりじゃな」


「あっ!フォリア!!」


女神の登場をどんなに待っていた事か!


「なんでもっと早く来てくれなかったんだよ。こっちは大変な事になってるんだぞ」


「…多少はわかっておる」


「わかってって…あ?」


あれ?


「フォリア、また小さくなってる」


例のロリ爆弾仕様だ。

銀の髪はそのままに、またまた幼女姿になってしまった。


「その姿になっちゃったって事は、力が弱まっているって事か?それとも力を使い過ぎたのか?」


フォリアは小さい姿ながらも胸を張る。威厳は保ちたいようだ。


「どちらかといえば信仰心が弱くなったという気がするぞ。一体何が起こったのだ?」


俺は黒い霧が再び押し寄せて来た事を伝えた。更に3人の男達に寄生したことも。


「むぅ。人に宿るとはな」


フォリアは思案顔だ。

何か手はあるのだろうか?


「手立ては倒す事だ。黒狼の時と同じじゃな」


「同じって、相手は人間だぞ」


「狼と人は違うか?」


「……嫌な事を言わないでくれ。俺は知らなかったんだぞ。普通の狼に黒い霧が宿っていたなんて、銀聖水をかけるまで気づかなかったんだ」


倒した黒狼の死体に銀聖水をかけた時、白い煙をあげるように死体が縮み、普通の狼の死体になったのだった。


「だから、あいつらだって黒い霧が取り付いて無ければ普通の人間なんだろ。それを…倒せって言うのか?」


フォリアは宙に浮かんだまま、俺を見下ろした。その表情は困ったような、怒っているような中途半端な顔だった。


どこかでこんな表情かおを見た。



つづく

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