第124話 月の終わりの大市!

月の最後の大市は今までにも増して賑わっていた。


「すごい人出だな」


「ヒロキ、ぼーっとしてないで早く店を開こう!」


カールにかされる。


結局のところいつものメンバー(+ユリウス)で来たが、総動員で働くしかないだろう。ユリウスは町にある詰所つめしょに行ってしまった。




準備が出来ると俺達は円陣を組む。

右手を重ねて…。


「皆んな、商品の値段は頭に入っているな⁈目指すは売り切れだ!!」


「おー!!!」


さあ、商売だ!




まずは食べ物から販売する。


いつもは菓子パンだけだが、今日はポテチを持ってきた。


大きめの厚紙をくるりと巻いて円錐えんすいを作る。そこにザザッとポテチを入れての販売だ。


持ち歩いて食べてもらうスナック菓子のイメージである。


お祭り気分の今日にぴったりだったのかなんなのか、飛ぶ様に売れていく!


そしてもちろん菓子パンも!

またたく間に完売する。

お客の1人に聞いたところ、前の市の時に例の大商人が立ち寄った事を知って買いに来たと言う。


改めてあの人は有名人なんだなって思う。「あの人が買ったから良い物に違いない」ってのは俺の世界にも通じるな。


食べ物が売れたらぐに小間物雑貨を並べる。ここは俺たちの連携の良さが光るぜ。


サッと台を拭くとテーブルクロス替わりのシーツを敷き、半分にリール村のブローチや髪留めを並べる。


ついでに作ってもらったトルソーにスカーフを巻いてブローチの良さが目立つ様にディスプレイ。


反対側の半分には子供服とベビー用品だ。


こちらも小さなトルソーに小さなワンピースを着せて飾る。


しかも今回は柄が多い。


俺の私服にあったチェックのシャツやストライプのシャツを利用して作った子供服が並んでいる!


そしてスタイなど小さい物はダンボールを切って作った台紙に留めて立体的に並べる。


売る時はそのまま渡せていいと思う。


他にもいつも通りのマフラーやスポーツタオルも売っている。


これらはカリンの読み通り、新年に向けての準備として飛ぶように売れる!


「カリンの言った通りだな」


「いいえ、布の質が良いのとお値段が手ごろなんですよ」


カリンは照れた様に答える。


あ、かわいい。




つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る