第125話 大商人との取引!

今日の市場は盛り上がりを見せたが、さすがに売り物が少なくなってくると客も足を止めにくいのか、なかなか残りの数点が売れなくなる。


それでも両脇の店の店員さんが驚くほど、早く売れているのだが…。(今回はいつものベーコン屋ではなかった)


「少し売れ残りましたね…」


残念そうにカリンは残ったスタイとカラーなどをもてあそんでいる。


デザインが少ないから、一度買った人がぐにもう一つ買うって訳にはならないのかもしれない。


この件は来月に活かせるんじゃないか?新しい子ども服なんかは良く売れてたし。


「もうすぐオットーさんが来るから、もう片付けよう。ほぼ完売だ」


ヘトヘトになりながらも後片付けに入る。そこへ街中からざわめきが近づいて来た。


もしかして…オットー・モレーン・コンスタンティンさん?


人々が自然に道を作る。大きな身体に派手なシマシマ模様の服。そしてあのしゃなりしゃなりと歩いてくるのは!


「やあ、お若い店主!約束通り参りましたぞ」


「こちらこそ、お待ちしてました!」


ふふふ。

菓子パン100個。

小銅貨500枚、銅貨にして50枚、つまり銀貨5枚分が一度に売れるなんて!


もっとも今回は野菜の種子や小麦と交換する事にしているから、現金にはならないけど。


「しかしヒロキ殿、銀貨5枚分の小麦と種子はかなりの量になりますぞ。そちらの馬車に積めますかな?」


大商人は立派な髭をくるくるいじりながら心配してくれる。


彼の部下が運んで来た小麦袋は何と20袋もあった!山積みにされて行く。


「これで銀貨2枚分ですな。後は野菜の種子と種芋を銀貨1枚分」


次の部下が一抱えもあるジャガイモ袋を5袋、もう1人が同じくらいの麻袋を両脇に抱えて登場する。


「リール村はフォルトナベルグよりずっと北にありますからリンゴの苗木も持って参りました。これも銀貨1枚分」


おお!リンゴ、ありがたい!

カリンの背丈くらいの細い苗木が7本、根の方を麻布と荒縄とで包まれて運ばれて来た。


「残り1枚分、何がよろしいか?ワシは考えましたぞ」


何?何?


「豚の加工肉一頭分!」


きゃー!

嬉しいー!



つづく

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