第122話 ベビー用品を作りました!

「いやいやいや!遠慮する!」


「遠慮するな。私が『救世主様』に教える事があるなんて光栄だなぁ」


ユリウスがニヤ〜ッと笑う。

ちくしょう、カリンの前で笑い者にする気だな。


「あー、では剣で魔物退治をするのは騎士に任せよう。俺はやる事がある」


「待て。今の言い方は私がお前の部下みたいではないか」


「『救世主様』って言ってくれたじゃないか」


「私はまだ認めてはいない!」




後でカリンから聞いたとこによると、俺達がワイワイ言い合っているのを、作業中の女性陣が微笑ましく見ていたらしい。


あれだな。

俺に注目しているんじゃなくて、ユリウスの普段女性に見せない表情がウケたんだろう。


「だいぶ商品が出来たな」


「はい。皆さんのおかげで、たくさん用意出来ました。新年は新しい服を用意する風習が有りますから、赤ちゃんの物など売れるでしょう」


カリンが皆で作ったベビー用品を見せてくれる。『スタイ』や『おくるみ』、『おしめ』って言われたけど…?


「ああ、『よだれかけ』の事か。『おくるみ』って…へぇ、これで赤ちゃんを包むの?…『おむつ』ならわかるよ」


何で急にベビー用品が増えたんだ?


はっ!もしや?


誰かが先走ってユリウスと赤ちゃんが出来るような事を…⁈


「違いますよっ!」


カリンからお笑い芸人並みの速さでツッコミが入る。


「ウベさんのお家で年明けに赤ちゃんが生まれるんです」


ウベさんと奥さんのハイジさんは若い夫婦だ。ハイジさんは村でたった一人の妊婦さんである。


彫りの深い顔立ちの村人達の中で、ウベさんは何故か『平たい顔族』系の顔で、俺は個人的に親近感を持っている。(生まれてくる赤ちゃんはどっち似だろう)


「ウベさんのお家にも贈り物として差し上げてもよろしいですか?」


「もちろんだよ。必要ならいつでも良いぞ」


そういえば、俺の部屋のクローゼットに子どもの時の物が少ししまってあった。カードとかベイとか…。


ウベさんの赤ちゃんが大きくなったらあげようかな。


その内改めてクローゼットの中を見てみよう。



つづく

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