第100話 重要な秘密です!

「な、なんで?重大?」


「そうだ!聖なる水は神殿でしか生成されない。何故なら大神官様のみが女神の憑代よりしろになれるからだ。そして…」


 そして、カリンと同様に銀聖水を——というか水や火に力を宿す事が出来るんだな。


「何故これが作れる?場合によっては神殿へしょっ引くぞ!」


 ユリウスは俺の襟元を両手で締め上げる。そこへカリンが割って入る。


「騎士様、おやめください!私が憑代よりしろとなりました!」


 それを聞くとユリウスはパッと手を放した。


「…ちゃんと最初から説明するから聞いてくれ」


 俺は息を整えながらユリウスにそう言った。




 俺とカリンはお互いの話を補う様にしながら、意外と職務に忠実そうな神殿騎士に今までの事を話す。


 ある日俺が転移してきた事。

 いきなり狼に食われた事。

 そして復活した事。


 村を救う為に部屋の物を増やした事。

 初めは食べ物を増やした事。

 次に売り物になるものを増やした事。


 女神が俺の前に現れた事。

 そしてカリンに宿った事。

 銀聖水を作ってもらった事。


 町へ販売に行った事。

 2度目に行って刺された事。

 再び復活した事。


 黒狼が攻めてきた事。

 部屋の物で戦った事。

 初めて魔物を倒した事。


 ユリウスはやはりフォリアの事や魔物の事に特に興味を持った様である。


「…まだ信じられぬ事は多いが、君らの言いたい事は概ねわかった」


「そうか、良かった」


「わかっただけで納得はしていない」


 えー?


「君らは辺境にいて知らないだろうが、女神・フォリアが大神官様に宿て御姿おすがたを現すのは、神殿のある都市フォルトナベルグのみだ」


「そんな事言ったって、ここにも出たんだよ!」


 ユリウスは必死に訴える俺をジロリと見下ろすと、


「神殿に降臨なさるのは、神殿のある場所の地下深くにフォリア様が眠っているからだ」


「ええっ⁈」


 俺とカリンは声を上げた。


 そして顔を見合わせる。


「どういう事だ?」


「これは神殿の機密なんだが、フォリア様は遥かな昔、魔と戦う戦乙女であったというのだ。死してそのしかばねを葬った場所が今の神殿がある場所というわけだ」


「では、御縁ごえん所縁ゆかりもない此処ここにフォリア様が現れるのは…?」


 ユリウスはカリンに向かって重々しく頷いた。そして俺を指差す。


此奴こやつが虚言を申しているに違いありません」


 なんでそうなる!!



 つづく




 ◆100話記念オマケ〜読んで下さる方々に感謝を込めて〜いつもありがとうございます




 ◆ヒロキ

 高校生。最近バスケ部を辞めた。父母とは折り合いが良くない。


 部屋にはベット、机、本棚、クローゼットには子どもの時の物も詰め込まれている。転移前にコンビニで菓子パン、ジュース、水、ポテチ、マンガの新刊を買っていた。


 異世界ではフォリアの力添えのもと、救世主としてリール村を支えている。


 今のところ2回生き返っている。


 カリンと共に黒狼を倒した。



 ◆カリン

 金髪碧眼の生贄の少女。家族は父のみ。従兄弟にカールがいる。


 聖なる丘にその身を捧げた為、村では死者として扱われる。表向きのけがれのようなもので、村の人々は彼女に感謝している。


 裁縫が得意。

 ヒロキの事を不思議な力を使うと思って尊敬している。


 フォリアへの信仰心がかなり高い。


 やや天然の傾向がある。


 ヒロキと共に黒狼を倒した。



 ◆フォリア

 異世界の女神。


 人々から生気を奪い、世界を荒れ果てたものに変えようとする『黒い霧』と対峙している。純銀や火、水に力を宿す事が出来、それらは魔物に効果がある。


 ヒロキを召喚した。


 カリンに憑依出来る。


 その昔は戦乙女として戦う人間であったらしい。都市の神殿の地下にその身体は眠っている、とされる。


 今のところ、

 幼女ver、少女ver、大人のお姉さんver、に加えてカリンと融合したプラチナverが確認されている。

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