第61話 君への感謝!

「そういえばまだ御礼おれいを言ってなかったな」


 俺は改めてカリンに向き直る。


「?」


「あの、助けに来てくれて、ありがとう…」


 深々と頭を下げる。


「……」


 カリンが黙ったままだったので、俺は顔を上げた。


 見ると彼女は顔を真っ赤にして口元に手を当てている。


 あれ?


「俺、変な事言った?」


「いえ、あの、私はヒロキに感謝されるような事は何も…」


「何言ってんだよ。刺された俺を助けに来てくれたじゃないか」


「ででで、でも結局は間に合わず…」


「俺の方こそカリンを危険な目に合わせてしまって、謝らなくちゃな」


 なんかお互い頭を上げたり下げたりだ。変なの。


 俺とカリンは顔を見合わせて「ぷっ」と吹き出した。




 丘に戻りながら帰り道の話を聞くと、初めはカールもエレミアも青ざめていて、コリンは半泣きだったそうだ。


 あいつらにも心配かけてしまった。


「買い物できなくて、村の皆もがっかりするだろうな」


「明日行ってもいいでしょう。値段は少し高いかもしれませんが」


「そうか、日曜の市にこだわらなくてもいいか」


「お金にこだわらなくても、物々交換で良いという方もおりますよ」


 よし、明日カールとケンプルさんにお願いしよう。



 買って来てほしい物は…。




 つづく

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