第59話 騎士団とは!

 この世界に騎士団が在るのはカリンから聞いて知っていたが、本物に会うのは初めてだった。


 後ろ姿しか見てないけど。



 深緑騎士団グリューネ・ヴァルト。この地方の神殿を守るいわゆる神殿テンプル騎士団だ。(他にも青流騎士団とか漆黒騎士団とかが在るそうだ。)


 皆の話をまとめると、俺と悪漢たちの間に割って入ったカリンを見て、「か弱き女性に何をする」とばかりにやって来たのが緑色のマントをまとったユリウスと言う騎士であった。

(物陰から見ていたカール談)


 彼の姿を見るなり、男達は逃げて行ったと言うから騎士の実力は相当のものであるようだ。


 さらに騎士団は俺の世界で言う『警察』のように市民を守る事も仕事であるらしい。


 奴らは捕まるのを避けるために逃げて行ったという事もあり得るだろう。


 そしてユリウスに死体の俺を埋葬しようと言われたが、カリンは村に持って行くと答え、カールに荷車を引く馬を手に入れるよう指示した。


 そこでまた、ユリウスから「馬なら手配しよう」と申し出があり、格安で馬を手に入れる事が出来たそうだ。


「長めの金髪で背が高くていい男だったわよ」


 エレミアがしれっと余計な事を言い出した。


「そうかなぁ?おれはそう思えなかったぞ」


 カールが反論する。

(いいぞカール!)


「あら、ヒロキの死体を軽々と持ち上げてくれたじゃない」


 ええっ?


「それはそうだけど」


 カール、もっと言い返せ!


 長身イケメンで力も地位もある奴がこの世界にも居るのか!

 そいつに持ち上げられたなんて屈辱以外の何者でもない。



 …いや、なんて言うか結局カリン達を護ったのは俺じゃなかった、というのが俺の中で渦巻いている。


 悔しさとか嫉妬とか、自分への情け無さとかい交ぜになって降りかかってくる。


(くっ、イケメンに負けた)




 つづく

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