第58話 もう一度記念写真!

 良かった。これを死体のポケットに入れたまま戻してしまうと、スマホも元の状態に戻ってしまう。


 ネットにも繋がらない、誰と通話できる訳でも無いこのスマホだが、俺は写真を撮ったのだった。


 せっかくのそれが消えてしまうのが嫌だったから、俺はカリンにスマホを渡したのだ。


「そうだ、もう一回『絵』を撮ろうよ」


 カールが明るく言う。エレミアもコリンも賛同する。


「そうね、面白いわね」


「…生き返った記念…」


 なんだその記念は!


 …まぁ、いいか。


 俺達は再びくっつき会うとまた1枚写真を撮ったのだった。



「そういえば、今日は何か買った?」


 俺が聞くと、皆そろって首を横にふる。エレミアがやや怒りながら、


「そんな暇なかったわよ!急いで村に戻ろうって事になったんだから。馬を手配してもらえただけ、ありがたかったんだからね」


 俺の所為だとばかりに指をさしてまくし立てる。


 そんなに言わなくても…。

 ん?

 馬を手配してもらえたって、誰に?


「騎士様です。深緑騎士グリューネ・ヴァルトのユリウス様と名乗られました」




 つづく

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