第51話 楽しいランチタイム!
「いふもこんなひおいひいももたへてんのっ?」
エレミアが口に物を頬張ったまましゃべってる。
「行儀良くないぞ」
そうたしなめるカールは例の
コリンは可愛らしくニコニコしながらパンにかぶりついている。
この食事だけは申し訳ないが採らせてもらうぞ。俺も早速、子羊肉を手に取った。口に運んで食いちぎると、肉の熱い脂と岩塩の混ざり合った味が舌を刺激する。
うまい!しょっぱい!
そういえば
水を口に含んでいると、カールがニヤニヤしながら、
「カリン姉ちゃんとヒロキは結婚してんの?」
「⁈」
ブーッ!
俺はカールに向かって吹き出した。奴が悲鳴をあげる。
「うわ!ちょっと!」
「な、な、何を急に⁈」
「そ、そうですよ!何ですか!」
俺とカリンが抗議の声をあげると、エレミアまでも余計なことを言い出す。
「あら、違うの?てっきりそうだとばかり…」
「だ、誰がそんな事を?」
「誰がって言うか、姉ちゃんは神に捧げられた乙女だから救世主の嫁になるんじゃないの?」
村ではなんとなくそんな雰囲気になっているらしい。マジか!
「ち、違うからな。そういうのではないぞ」
「いいじゃん、もらっちゃえば?」
カールはパンを頬張りながらテキトーな返事を返す。
ちょっと、どうにかしてくれ。君のいとこだろ、ってカリンを見ると俺より真っ赤になっているッ?
しかしそれは照れではなく、握られた拳がぶるぶると震えている。
逃げろ、カール。
「失礼な事を!」
カリンの右ストレートが鮮やかに決まり、食器が散らばる盛大な音を立ててカールは吹っ飛んだ。
腹一杯食べて、俺達は店を出る。
「美味しかった…」
誰ともなくつぶやく。皆満足げだ。
(負傷者1名を除いて)
「じゃあ、後は食料を買って帰ろうか」
俺が先頭に立って歩き出すと、その行く手を阻む数人の男達が現れた。いかにもガラが悪い。
「よう、お兄ちゃん達。儲かっているみたいだねぇ」
つづく
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