第43話 ベーコン屋の親父再び!

 一方のコリンはカールの幼なじみで親友だ。亜麻色のサラサラヘアを切りそろえている。少し背が低く線の細い、いわゆる本の虫タイプだ。


 よく女の子に間違われるらしい。


 こちらはカールに誘われたから来てくれたという。


「ヒロキ様とご一緒できて、嬉しいです」


 ああ、なんと可愛らしい!

(男だけど)


 カールとコリンはいい奴だなぁ。


 反対に村長の末息子・ドルフは俺に対してどこか警戒心を抱いている。気を許してくれない何かが感じられるのだ。


 いや、それは俺の慢心か。


 フォリア様の奇蹟として敬われるのが当たり前に思ってしまった俺がいたのかもしれない。(こんな奴がいたら俺も距離を置くだろう)


 気をつけよう。




 町に着くとカールが受付を済ませる。

 幸い荷車は受付で預かってくれるという。(クロークみたいに番号札らしきものを荷車に付けるのだ)


「あっ!あんたらこの前の!」


「ベーコン屋の親父さん!」


 どうやらまたお隣のようだ。


「この前のベーコン、美味しかったです」


 ついでに礼を述べると、


「そうだろう⁉︎味はどこにも負けねぇと思うんだがなかなか売れ行きが伸びねぇのよ」


 なんともったいない。


「今日も買いますのでよろしくお願いします」


「おう、お互い頑張ろうや」


 俺達も準備にかかる。


 例のごとく半分が菓子パン売りで、もう半分は違うものを置く。


 今日は菓子パン目当てに来た御婦人方の興味を引くよう、カラーとカフス。それにグスタフさんのブローチを置いてみる。


 ダンボール看板ももちろん作ってきた。


「さあ、売るぞ!」




 つづく

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