第44話 隣の店を手伝います!

「ちょっとぉ!こっちにも『お試し』寄越しなさいよ!」


「ご、ご試食はそんな出せなくて…」


「あーら、私は試食はいらないわ。5個まとめていただくから」


「あっ、私も3個包んでちょうだい!」


菓子パンの売れ行きはすごかった。


ちょっとお高いケーキのようなもんだろう。習字の練習用紙で包んで渡すのもウケたようだ。(その場で食べなくてもいいからだ)


あっという間に60個が完売となる。


残念ながら菓子パンのインパクトがすごすぎて、他の物が売れない。


売り子を務めたカリンとコリン(ユニット名みたいだがカリンの本名はカーテローゼである。ちなみにコリンはそのまま)を休ませて、菓子パンコーナーを手早く片付けて布売場にする。


「相変わらず、すげぇな」


ベーコン屋の親父さんが感心して言う。


ふと思いついた事があって、俺はカールに店を任せて親父さんの方へ行く。




「何ィ?ベーコンを焼いて売るだと?」


「他の屋台でも見たんだけど、目の前で調理していると人目も引くし、何より香りで客を惹きつけるんだ」


「なるほどなぁ…。おい、誰か店から道具を取ってこい」


親父さんの声に店を手伝っていた若者が駆け出して行く。


「それと、この肉に合うものってなんですか?」


「付け合わせの事か?そりゃ麦酒エールとかキャベツの酢漬けだろうな」


キャベツの酢漬け?

漬物のことか?

俺はそれも用意してくれと頼む。


「そんな金ねぇよ」


親父さんは渋い顔をする。

じゃあ、俺が用意するか。

幸い前回の資金が少し残っている。

そして店の後ろで座って休んでいるカリンに声をかけた。


「カリン、休んでいるところ悪いんだけど、買い物に付き合ってくれないか?」


つづく

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