第29話 女神様再び!

 その夜のことである。


「おい」


 来た。


 俺は目を開ける。

 そこはやはり前回と同じ中空に体が浮いている場所であった。


「良くやったな、ヒロキ」


 そう俺を褒めてくれるのは女神・フォリ……


「アッ⁈」


 姿が違う⁈


 銀色の髪と紫色の瞳はそのままに、幼女の姿から少女…乙女の姿に成長している。


 丸っこく可愛らしいロリ爆弾の姿から、俺やカリンくらいの年齢のすらりとした手足を持つ姿への変化に俺は驚いた。


「ふっふっふっ、驚いておるな。そなたのおかげで私への信仰心が膨らみ、姿までも元どおりに近づいておる」


 膨らんだのは信仰心だけではないようだ。ちらっと女神の胸元を見てしまう。


 いやいや、『元の姿に近づいている』って事はもう少し成長なさるのか⁈


 わぉ。


「お前、くだらぬ事を考えておるのではあるまいな?」


「い、いえそんな不謹慎な事は…」


「…まぁ良い。ところでヒロキ、そなた村人を甘やかすでないぞ」


「?」


「薄々気がついておるであろう。そなたの部屋の持ち物を増やして商うだけでは、この村の為にならない、と」


 それはそうなのだ。

 それで儲けたお金で食べ物を買うだけでは何も進展しない。


「そう、それだけでは村は救えない。さすがじゃな、ヒロキ」


 褒められ慣れていないのでこそばゆい。それより彼女に頼みたい事がある。


「フォリア…様」


「ふふん、愁傷しゅうしょうじゃな。それに免じてフォリアと呼ぶ事を許そう」


 偉そうな。


「なんじゃ?照れておるのか。私とそなたの仲ではないか。気にするでない」


 どんな仲だ。

 いやこの世界に連れて来てもらった恩があるからな。


 それで俺は


「では、フォリア」


「なんじゃ?」


「魔除けが欲しい」




 つづく

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