第28話 大人の方が臆病なのか!

村で支度された夕餉をあのベンチでカリンと一緒にいただく。


いつのまにか小さなテーブルが置かれ、村長も一緒に食べる。


出されたものは具沢山のスープであった。俺達の為に余計に材料を使わせたのでは無いかと心配になる。


小麦粉を練って作ったパスタの一種が入っている。ベーコンも使われていて、いつもの野菜スープとは違った美味しさがあった。


村長は街までの道のりが安全であれば、村人を自由市場への手伝いに出したいと申し出た。


安全であれば、か。


こういう時の村長はちょっとずるいと思う。


今回町へ行った俺達はみな自己責任で出かけている。


俺は村の人間じゃないし、死んでも復活している。


カリンはすでに村から出された神への供物。


カールは自分から行くと町へ出た。




…村長1人が悪いわけじゃないな。村人がみなそう言ったんだろう。安全なら外へ出る、と。


俺がやらなきゃいけないのはそれもあるんだな。



俺達は食事の礼を言うと、連れ立って丘へ戻った。


村を囲む土壁の上から、子どもたちが顔を出して手を振ってくれる。


俺は嬉しくて手を振り返した。


「少しは喜んでもらえたな」


俺がそう言うとカリンは、


「皆、ヒロキに感謝していますよ」


「…そっか」


照れ臭くて俺はぶっきらぼうに答えてしまう。



丘に着くと、1日の疲れがドッと出た。


(風呂に入りたいなぁ)


そう思いながら、水を取りに部屋へ踏み込んだ。


「あれ?」


思わず声が出た。

体が楽になったのだ。

汗をかいたベタベタも、疲労も消えてしまったようだった。


なんだこれ?


ともかく不快感が消えたので、外に出てカリンに水を渡す。それとタオル。


カリンの小屋が出来かけているので、そこにシーツで壁がわりに幕を張る。


カリンはそこで寝起きするのだ。

布団も移してある。


(俺は念のため、まだ外で寝る)


簡易的なカリンの部屋だ。

身体を拭くための水のペットボトルを何本かと、例のプラスチック製の引き出しを置いてやる。


少しは快適に過ごしてくれるといい。


つづく

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