第27話 バスを待つ2人!

 帰りの道のりはしんどかった。


 荷物が格段に重いので自然と歩みが遅くなる。


 何か運搬する方法を考えよう。


 やはり馬だろうか?

 あるいはその後のことも考えて牛、それも乳牛とか?

 安そうなのはロバだ。


 そのうちに俺の思考は止まって、歩く事に意識を持っていかれる。


 ようやく村に着いた時には、木刀はもはやつえ代わりになっていた。


 疲労困憊ひろうこんぱい、汗だくベトベト、息も絶え絶えに買ってきたものと売り上げを皆に見せると、歓声が上がった。


(良かった…頑張ったかいがあっ…た…)


 すぐに村の人々が夕食を支度してくれるという。俺は村の前のベンチでカリンと共に座って待つ事にした。


 村の前のベンチ、というのは俺についてきて村に入らず待っているカリンのために作られたものだ。


 2人で並んで座っていると、バスでも待っているみたいだった。


「ヒロキ、疲れたでしょう」


「…うん」


 カリンはそんな俺を見て少し笑った。

 あまり笑わない彼女の笑顔をたまにみると、俺は少しどぎまぎする。


 俺は少し背筋を伸ばす。


「今度はもっと荷物をたくさん持って行って、もっといろいろ買ってきたいな」


「そうですね。今日は楽しかったです」


 聞けば菓子パンが飛ぶように売れたのが楽しかったという。


「ヒロキの作り出したパンが良い品だったからですね。私達ではあのパンは作れません」


「本来はリール村の産業は小麦なんだろ?材料さえあれば作れそうだけどな。そんでそれをこの村の特産品にするんだ。女神・フォリアのクリームパンとか言ってさ」


 カリンは俺から顔を背けた。


 あれ?怒らせた?


 いや、肩を小刻みに震わせて…笑ってる!


 それがおかしくて俺も笑ってしまった。



 つづく

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