第24話 『銀龍亭』!

お楽しみの売り上げは、合計で銅貨84枚と小銅貨8枚であった。


普通の食パン1斤が小銅貨2枚として、400個買える計算だ。


もっと荷物を運べるのなら、元手がかからないから儲けも増えるのだが…。


思わぬ早い店じまいに、お隣さん達が声をかけてくる。


「すごいねあんた達」


「羨ましいねぇ」


カールとカリンは照れていたが俺は素直に喜べない。(これはリール村の産業とは言えないもんな)


でも、まずは初商売のお祝いがしたい!何より腹が減った。

昼食をどこかで食べようと提案すると、カールが飛び上がって喜んだ。


「やったー!」


「1人銅貨2枚の予算で食べれる所あるかな?」


「知ってるよ!『銀龍亭』なんてどう?」


任せるよ、と言うと彼は先頭に立って歩き始めた。


改めて眺めると、市場の中は本当に様々な物が並べられていて、さながら屋台と雑賀屋のごった煮という感じだ。


屋台でも腸詰ウィンナーの焼きたての匂いが空腹を刺激する。かと思えば甘いジャムのような香りもする。

食べ物を売る時は香りも重要だなぁ。


『銀龍亭』は広場から一本道を入った所にある店であった。いかにも冒険者が集いそうであるが、中に入ると普通の町の人々でいっぱいであった。


カールの勧めでパンと飲み物、それに3人で分けるシチューと大きな粗挽きウインナーみたいなものを頼んだ。


すごい。

楽しみだ。


今まで菓子パンとポテチ、薄い野菜スープばかりだったから、久しぶりの食事にワクワクする。


「そういえば、村に何を買って帰ろうか?」


ふと思いついて聞いてみる。


「そうですね…やはり皆の食べ物でしょうか」


カリンの答えにカールも同調する。


「おれ、皆んなに肉食べさせたい」


同感だ。

少しの野菜はあるようだが、村にはほとんど何もない。


「小麦ってどうかな?」


「重いですよ。近くなら私達でも運べるでしょうけど、村まで運ぶなら何か手立てがないと…」


「そうだよな。重さがなぁ」


俺が考えているうちに、注文した物が届いた。


「…!」


まだ暖かいパンは柔らかなフランスパンという感じで、ふんわりとしている。


シチューはこってり系のブラウンシチュー。濃い目の味付けに負けない牛肉の旨味と味の染み込んだほくほくのジャガイモ。


粗挽きウインナーは皮が歯ごたえがあり、香ばしく焼けた皮はプチっと弾け、中から熱い肉の脂が溢れてくる。脂っこさを消すための香草が臭みを消している。辛めの味付けは胡椒の辛さだ。


う、美味い…!


つづく

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