第21話 昔とった杵柄!

 食べ物を目の前にして俺はやる気が出た!


 文化祭で綿あめを売っていたのを思い出す。まずは人目をひく事だ。


 俺はパンを崩れない様に運ぶためのダンボールをリュックから引っ張り出した。すでに準備はしてある。


 そう、人目を惹く可愛らしいハートのついたボードである。商品名と値段を書いてきた。(文字は村長むらおさの奥さん、デボネアさんに書いてもらった)


 絵の具で赤やピンクのハートを描いてある。出した瞬間に道行く人が驚いた顔でこっちを見る。

 中にはなるほど、という顔の者もいた。


 ボードには『菓子パン・小銅貨5枚・あま〜いパンです、クリーム入り!』という趣旨が書いてある。


 カールが驚いている。

 ふふふ、まだあるぜ。


 重ねて持ってきた2枚目は裁縫コーナーの物だ。こちらも可愛く作ってある。なぜなら買い手が女子の商品であるからだ。こちらはピンクに塗ったダンボールを花型に切って貼り付けてある。


『布安売り!針特価!糸もあります。』


 そして個々に値札を並べる。

 価格は村の人に聞いてつけたものだ。

 元手がないので、売れなければ下げてもいい。


 ちなみにこの国では貨幣があるが物々交換も同じくらいにあるという。


 貨幣は小さい方から小銅貨、銅貨、銀貨(混ぜ物銀)、金貨、真銀貨となっている。


 真銀貨は純銀であるため、魔除けに使えるそうだが、小銅貨50000枚というから一般人には手が届かないらしい。


 さあ、店の前に人が立ち止まり始めたぞ。いよいよだ!


 つづく

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