第15話 彼女はふわふわが好き!
次の日、肌寒さに目覚めるとカリンも起きて来た。女神・フォリアに夢で会ったことはまだ言わないでおこう。
「まず顔を洗うか」
水のペットボトルを数本と、クローゼットにしまってあったスポーツタオル。それと洗面器がわりに水を溜めるためのものとして、プラ製の押入れ収納の引き出しを外に出した。
飲み水を使うのにカリンは抵抗があるようだったが、お互い2人で交代に水道のように水を流して洗うとかなりさっぱりした。
(ああ、風呂に入りたい)
例のごとく朝食を済ませ(ああ、もうご飯が恋しい)、まずはスマホの充電を外でする事を考える。
これは多分成功するはずだ。
延長コードをドア側に寄せ、さらに充電ケーブルをつなぐとだいぶ長くなる。俺の充電ケーブルは細いのでドアを閉じてもケーブルは出ている。
窓からパンを出して増やした時、俺は腕だけ出す事は出来たから、このケーブルも途中から外に出ていても機能するはずだ。
スマホにケーブルをつなぐと、ブルっと震えて充電が始まった。何かあってスマホが増えるとしてもこの外用スマホと識別できるようにケースに印をつける。カリンにマジックペンで銀の女神・フォリアの紋章を描いてもらったのだ。三日月と2つの星、それとツバメを表しているという。
さっき顔を拭くのに使ったスポーツタオルをスマホ置きにする。
ふと見ると、カリンは彼女に渡したタオルをずっと撫でている。
「気に入ったの?」
俺が声を掛けると、カリンは見られていたことに気づいて恥ずかしそうにした。
「ふ、ふわふわだったのでつい」
真新しいタオルは確かにふわふわだ。
「タオルでも売るか?」
俺が笑いながら言うと、意外にもカリンは食いついて来た。
「わ、私に考えがあるのですが!」
カリンが言うには俺の制服や布団、シーツなどの布の良さに驚いたのだそうだ。
「私、お
なるほど。悪くない。
布の種類は多くないけど、シーツや布団カバー、毛布は大きな布だ。布そのものとして売っても良いし、そのまんま毛布で売り出してもいい。
「よし、まず村長に相談しよう。人手がいるからな」
つづく
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