第2話 依頼
「え。。。と。ここは。。。」
早戸は地図を見ながら、道を探した。
彼女は指をさして方向を示した。
「え。。。と。ありがと。。。」
早戸はそんな彼女に礼をいいたがったが、なんと呼べばいいのか迷った。
それを気づいたのか彼女は言った。
「マリってよんでもいい。私たち仲間だから。。。」
仲間か。。。一人で旅立った早戸にはぎこちない言葉だった。
「うん。マリ、ありがと。」
「。。。」
マリは視線をそらした。
(なんだ。。。?恥ずかしがるのか?)
マリの表情はよく見えなかったが、なんだかかわいくてこっちも意識しそうになる。
「ゴホン、ライム村まで後1日歩いていくけど大丈夫?」
マリはコクコク頷きながら早戸の顔を見た。
「そっ。。か。。。」
今度は早戸が視線をそらした。
二人は気まずい状態で、3時間くらい歩いた。
「ここで休もう。」
初めて声を出したのは早戸だった。
彼女はぜんぜん疲れた様子はなく、早戸の気力に合わせているようだ。
早戸は一本の水筒を彼女に渡し、自分のを飲み始めた。
「くぅ~!生き返る!!」
早戸はゴックンと水を飲み干した。
彼女の体力が持つか心配だったが、そんな心配はいらないようだ。
「しっかし。。。熱いね。もう夏かな。」
早戸は上着を脱ぎたかったが、彼女の前で脱ぐのは恥ずかしかった。
そんな早戸の悩みも知らず、彼女は予想外のことを言い出した。
「脱げばいいじゃない。。。?」
そして彼女は上着を脱ぎ始めた。
何だろう、このストレートな考え方は。。。っていうかそれ脱ぐと素肌がでるからやめて!!!!!!!
彼女がどこで住んだのかはわからないが、きっとその村はエロスケベ村に違いない。なぜなら、彼女は下着もきずに豊かなおっぱいをさらそうとしているからだ!
「ちょっ!!と!!!俺、男だからそんなのやめて~!!」
田舎ものである早戸でも性欲はあり、女性って何なのかをしている。
しかし、マリははじらうこともなく、無表情だった。
「そう。。。?私は気にしないけど。。。わかった。」
マリは納得して貰えなかったが、早戸に従った。
早戸はなんだか、ますます暑さを感じた。
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その後、一日かけて歩いた結果、ようやくライム町についた。
ライム町は人でいっぱいだった。服も派手で、田舎ものである早戸は逆に回りに目立っていた。うす汚い服、とおりすがる人たちは彼をちらっとみた。
早戸は自分の体を見回した。
「くっさ。。。最近、まともに洗ったことがないからな。。。」
早戸はマリと宿屋をとった。
「お客様、二人でよろしいんですか?」
「はい。二人です。」
「すみません。最近、流通が活発になって空き部屋が今一つしかおりません。一部屋でもよろしいんですか?」
「え?そうなんですか。。。」
彼女の言葉通りなら、ほかの宿谷も同じ状況だろう。それに寝られるのなら、早戸はどこでもかまわないが、しかし。。。
「マリ。。。どうする?ここでとまるか?」
早戸はマリに尋ねてみると躊躇いもなくオーケーしてくれた。
「じゃ、一部屋でお願いします。」
「わかりました。301号室です。」
早戸は鍵をもらい、部屋へ向かった。
部屋に入って荷をおろした。
「俺は床で寝るから、マリはベッドで寝て。何か飲み物持ってくる。」
早戸はそういい、部屋をでた。なんだか心が落ち着かない。
町は活気があって、いろいろ見てまわりたい。
村の中央にある井戸で水をくみ、街をぶらぶらしていたら、何かいい匂いがした。
「この匂いは。。。!」
早戸が匂いに引きずられて行った先はお魚の料理店だった。
「これはなんですか。。。?」
早戸は屋台の人に訊いた。
「なんだ?魚も知らないのか?」
「はい。。。山奥で住んでまして。。。」
早戸の故郷は山に囲まれていて魚を食べたことがない。
「これは焼き魚ってやつだ。のどぐろという魚でな、うちの故郷ではよく捕らえられるぞ~!」
「へぇ。。。初めて見ました。」
早戸がじ-と見ていたら屋台のおっさんは早戸に焼き魚を一本あげた。
「一本あげてやる。ただし、二本からはお金取るんだぞ?」
「ありがとうございます。。。」
早戸はおっさんにもらった焼き魚を一口食べた。
「何だ。。。この味は!」
魚の皮はパリッとして身はふっからだった。塩味が絶妙にうまみをだして、これぞ最強の焼き魚だった。
「うま。。。!!!うますぎる!!!」
「でしょう?ハハハ!!!」
おっさんは豪快にわらった。
早戸は魚に堪能し、焼き魚五本も買っちゃた。
「まいどあり~~~!」
早戸は外にでた目的もわすれていた。
「しまった。。。!早く戻らないと!」
早戸はお持ち帰りでもらった五本の魚をもって走って行った。
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早戸は今、ドアの前で立っている。
(俺今。。。入ってもいいよな。。。?)
そんなに意識しなくてもいいのに何故か意識してしまう。これが同居ってやつか。。。?!
早戸は一度、咳払いし、ドアにノックした。
『とんとん。。。』
「俺だけど、入ってもいいよな。。。?」
「うん。だいじょうぶ。」
早戸は部屋に入った。マリはベッドの上に座っていた。
(二人だけなのか。。。なんだか気まずい。。。)
「え。。。と。マリ?お風呂でも行かないか?長旅で疲れたろうし、その後、飯でも食べに行こう。」
早戸の提案にマリは少し、頷いた。
宿谷の近くにあるお風呂場に入り、マリに別れの挨拶をした。
「じゃ。洗ったらこの中央で待ち合わせしよう。」
そういい、早戸は男子の風呂に入ったが。。。何故か、後ろから視線を感じる。
その時、職員さんが来て呼びかけた。
「いけません!お客様!!そこは男湯です!!!」
早戸は後ろを振り替えたがやはり、そこにはマリが付いてきた。
「すみません。私の連れが失礼を。。。」
早戸はマリを女湯に案内した。
「マリ。。。お前、お風呂初めてなのか?」
「。。。」
マリは恥ずかしそうに顔を伏せたまま、肯定した。
「仕方ないな。あの。。。すみません。この子がお風呂は初めてなので、案内してくれませんか?」
「わかりました。では失礼します。」
店員さんはマリを女湯に連れて行った。
早戸は洗った後、待ち合わせのところでマリを待っていた。
「ちゃんと洗ったかな。。。」
早戸は彼女の心配しながら、牛乳を飲んでいた。
その時、女湯からマリと店員さんがでた。
マリは浴衣に着替えていた。マリの胸とかお尻とかのボディラインがそのまま出て見とれてみていた。
そして、ぼうっとする俺に店員さんは声をかけた。
「あの。。。お客さん?」
「あ。。。!すみません。身内を手伝ってくれてありがとうございます。」
早戸は元に戻り、店員さんに礼を言った。
「いいえ。ご満足になられたら結構です。ごゆっくりどうぞ。」
そういい、店員さんは去った。
そして、マリと早戸。二人だけが残った。
早戸は気まずい雰囲気を変えるために、マリに声をかけた。
「浴衣姿。。。似合うね。」
「ありがと。。。」
早戸のほめ言葉にマリはほんのりと頬をそめた。
ますます気まずくなる空気。
(何とかしないと。。。!)
「さぁ。。。!飯でも食べに行こう!お腹すいた!」
早戸はお会計をすまして外にでた。
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外はとっくに暗くなっていた。
ライム村は夜でも光で満ちていた。
「こんなに明るい何って。。。町は違うな。。。」
早戸は街を歩きながら、後ろをチラッと見た。マリが視線を感じたか、早戸をみあげた。早戸はマリと目が合い、心がドキッとする。
早戸はまた、前を向き、早歩きする。
すると、マリは早戸のすそを引っ張り、言った。
「早戸。。。早すぎ。。。」
「ごめん。。。」
早戸はマリに誤り、ゆっくりと歩き始めた。
何だろう。この気持ちは。。。
早戸は16年生きてはじめて感じる感情だった。
「。。。何、たべます。。。?」
緊張したせいか、早戸の口から警護がでた。
「早戸がすきなのも。。。」
マリは顔をふせたまま、小さい声で答えた。
「先の宿主から聞いた情報だと、この角を曲がればおいしいシチュー屋がある。そこにしよう。」
角を曲がると人々が並んで待ってるお店があった。多分、そこだろう。
「人がいっぱいだな。。。なんかおいしい匂いもするし。」
ほんのりした果物の香りと蒸し煮した肉と野菜の香りがする。食べてないのに幸せになりそうだ。
ようやく、列が消え、店に入ることができた。
「お二人様でしょうか?」
「はい、二人です。」
「こちらへどうぞ~。」
ウエートレスに案内をもらって席に着いた。
メニューには野菜シチューとビーフシチューがいた。そのほかにもパスタとか肉料理もあったが、強烈に鼻を刺激するシチューを食べてみたかった。
「野菜シチューとビーフシチュー、それとパンとジュースをください。」
「かしこまりました。お少し待ってください~!」
店員さんはそういい、ほかのテーブルに向かった。忙しそうだ。
「このお店、はやってるね。期待になるな。」
少し後、注文したものが出た。マリもようやく乗り気になってスプーンを手に持った。
マリは野菜シチューにスプーンを入れた。
「。。。おいしい。。。」
早戸はマリの反応をみて、ビーフシチューを一口食べた。
「ほんとだ!めっちゃうまいじゃん!」
早戸とマリはシチューとパンを食べ終え、満足した。
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早戸は一つの問題に直面していた。それは。。。
「お金がたりん。。。」
そう、お金を全部使い、このままじゃ王国に行くことができない。
そんな早戸の悩みを解決してくれたのは。。。
「でしたら、町の管理所に行ってみては?」
「管理所ですか?」
宿舎の管理人さんが言ってくれた。
「そう、町の管理所にいけば依頼をもらえるかもしれないよ?依頼を達成したら、お金ももらえるし。」
管理人さんの紹介をもらい、早戸は管理所に向かった。
管理所の中には人が結構集まっていた。
早戸は管理所の案内デスクに向かい、職員さんに質問した。
「あの。。。すみません。この村で、少し、お仕事でもしたいですが、お金貰えますか?」
「依頼。。。でしょうか?」
職員さんはちょっと困った顔をした。
「できません。。。か?」
「すみません。町での正式な依頼は冒険者としても実績がなきゃ不可能なので、個人依頼なら、できますけど。」
「個人依頼っていうのは?」
早戸の問いに職員さんは依頼書を持ってきた。そこには命に危険な依頼書ばっかりだった。
「このように危ないものばっかりでして、こちらがだめなら、依頼はできません。」
「そうですか。。。」
早戸はがっかりした顔をした。しかし、依頼書の中で、早戸の目を引くすばらしい依頼書があった。
「これは。。。!この依頼はどうですか?!!!」
早戸が示した依頼書にはこう書かれていた。
『王国への警備と荷物守り。報酬。千クォタ(約10万円)。ただし、命の保障はできない。』
「警備をお仕事ですか。。。これでいいなら、依頼者に連絡を入れますけど、どうしますか?」
「はい!!!ぜひ!!!」
早戸は警備のお仕事と王国にいけるチャンスを同時に得た。
「これで安心だな~。」
職員さんは早戸に案内書と依頼の引受け書を早戸に渡した。
「依頼人はハンナスさんです。彼はカメル市の商会にいます。そこに行ってください。」
(カメル市って?ここから遠いのか?)
「カメル市ってどこですか?」
早戸の問いに職員さんは地図を見せながら説明してくれた。
「え。。。と。西の方向にあります。ここから歩けば、半日かかりますね。」
(また歩くのか。。。)
早戸の悩みに気づいたのか。職員さんは提案した。
「乗り物でも提供しましょうか?引き受け人ですし、サービスしてあげます。」
「本当ですか?!!!ありがとうございます!」
「では少々お待ちください~。」
職員さんは服を着替えてきた。そして、早戸は職員さんをついて行った。
「これは。。。?」
ついたところは馬でも、機械でもなく、魔石をこめた四輪の車だった。
「これは魔車っていうものです。人の魔力によって動くものでして、魔力があれば誰でもうごけますよ?」
早戸にとって、こんな乗り物ははじめてだった。
「もとなら、お客さんに使わせていいものではありませんが、今回だけのサービスですよ?」
「はい!ありがとうございます!」
「では。行きましょう~!」
職員さんが魔石に手を置いたら、車が動き始めた。
魔車のおかげで、あっという間にカメル市へついた。3時間もかからなかった気がする。
こんな便利なものがあっていいのかと疑惑を抱きながら、早戸は周りを見回した。
カメル市に入る前に検問のため、荷車が列に並んでいた。
高い壁、大きい正門、そしてりんりんとした衛兵。まさしく早戸が夢見た世界だった。
「早戸さん、恐れながら、ご案内はここまでになります。カメル市には連絡をいれてましたので、中に入れば依頼のことを話せるでしょう。では、ここでお別れです。」
職員さんは別れの挨拶をし、早戸はお辞儀した。
「本当にありがとうございました!」
職員さんは笑顔になってそそまま、帰っちゃった。
早戸とマリは無事に検問を通過した。検問所を抜いたら広大な広場が現れた。
「で―け―!!!」
広場には多くの人たちが通って、間違って歩けば道に迷いそうだ。
マリはさっそく、人に押され、早戸と離れ離れになるところだった。
早戸はマリに手を伸ばして、マリの手首を掴んだ。
「道に迷うから離れないで。」
「うん。」
マリは頷き、互いの手を繋いだ。
人だかりを抜いて管理所についた早戸は管理所の案内デスクに向かった。
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