機械兵のハヤト

@hayuyakana

第1話 王国

 日が開けるころ、朝早く家を出る支度を始めた。大きなバックに吹くと雑用具を積みこむ。この平和な町もしばらくは帰れないことを考えたらなんだか感情線が刺激される。少し自分に酔って朝日をみていたら、早戸(はやと)を呼びかける声がした。

「はやと-朝ごはんできたよ。早くきなさい。」

早戸の姉、しおりだった。

早戸は幼いころ、親をなくして、姉と一緒に暮らしていた。二人の生活は裕福ではなかったが、姉をおかげで今まで、生きてこれたと早戸は思っている。姉は昨年に村のお婿さんと結婚し、早戸の面倒を見てくれたが、今日、早戸はその姉の温もりからでて、旅にでるのだった。

「しおり姉さん。。こんなに食べられないよ。。」

しおり姉さんは早戸のたびをお祝いするために、派手な食事を準備した。全部油の濃いものだった。

「しかも、昨日もお祝いされたし、いいよ、べつに。」

「そんなにいや。。。?しくしく。。」

「いやそうじゃなくて。。」

早戸は一息もらして、食事を始めた。

「いただきます!」

朝から油ものを完食した早戸は吐き気がした。

「じゃ。。いってきます。」

早戸は姉と義兄に別れの挨拶した。

「早戸。こちにこい。」

姉の呼びかけで早戸は彼らに近づいた。

そして、姉と義兄は早戸をぎゅうと抱きしめてくれた。

「元気にしてね。さびしいから、必ず、戻ってきなさい。。」

「うん。。ありがと。」

早戸は最後の挨拶をし、王国にむかった。


 早戸は地図を見た。

「ここは王国の一番離れたところだから。。ライム村に向かうべきか。」

早戸の次の目的地はライム村、王国まではいくつの村を通らなきゃたどれない。ライム村は早戸の村、下川村で三日くらい歩けば着く町だ。村に着いたら、食料や情報ももらえるため、そこに向かうことにした。しかし、三日。早戸は一日でも早く王国に行きたい気持ちで、早く行ける方法をさがした。

「この道を通れば。。よし!一日で行ける!」

早戸が地図に示した道は岩と崖だらけの道だった。

早戸はそれを気にせず、森に向かった。森の中は命の芽生えが生まれる季節だった。おかげで、早戸の身は茂みとやぶだらけになった。

「はあ。。こんなにきつかったら、こなかったのに。。」

早戸はブツブツ言いながら、森を抜け出した。その先は岩場だらけの道だった。

早戸は岸壁を渡りながら、岩山を登り始めた。普段から王国軍に入るために、いろんな訓練を重ねてきたため、早戸には岩山など問題にならなかった。しかし、気を抜いていたせいか、早戸は足を滑らせて、崖から落ちてしまった。


 「ここは。。。」

早戸は汗を流しながらゆっくり立ち上がった。岩や枝にこすられ、全身が傷だらけになった。回りは岸壁で囲まれていた。もう、立ち上がる力も入らない。

「ちくしょ。。。痛みに絶えるのに精一杯だ。」

早戸は目を閉じたまま、苦痛に耐える時間を稼いだ。早戸は思わず、気を失い、深い眠りについた。


 「お母さん!お父さん!!いや!!!助けて!!」「はやと!!にげろ!!」『シュイーンー!』「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

早戸は冷や汗を流しながら、目をさめた。

「はあ。。。はあ。。。」

早戸は現実に意識を戻すために、深息しながら、周りを見回した。

「ここは。。。俺が落ちたところであってるよな。。。」

早戸はなんだか、違和感を感じたが、状況を把握するのに精一杯だった。

「それにしても。。なんだか体が軽くなったように感じるが。。。」

早戸は自分の身を確認した。すると怪我はさっばり消えていた。

「俺。。。こんなに回復力高かったか?いや。。。ありえん。。。どうして。。。」

「目を覚めましたか?」

早戸は声の聞こえるほうに顔を向いた。そこには早戸を看病するための包帯と水たらいを持っていた一人の少女がいた。

(彼女が助けてくれたのか。。。)

早戸は体を起こした。

「助かりました。ありがとうございます。」

「。。。」

彼女は少し会釈し、傷口を確認した。彼女のおかげで、傷口はほぼ納まっていた。

彼女は包帯を替えた後、森で採った果物を持ってきた。早戸はお腹の音がした。

「。。。」

彼女は何も言わず、彼に果物を渡した。

「ありがとうございます。。。」

早戸は動かぬ顎を強制的に動きながら果物をかぶりはじめた。

彼女はそんな早戸をじっと眺めていた。

「あの。。。何かありますか。。。?」

「いや。別に。。。」

彼女は無反応だった。

(なんだ。。。?この人。。。)

早戸はそう思いながら、果物を食べ終えた。ようやく、血の気が戻り始めた気がする。

空を見上げたら、空が岸壁に囲まれて、まるで井戸の中のかえるさんみたいだった。

早戸は今すぐ、ここを出たいのだが、自分を精一杯看病してくれる彼女を裏切りたくなかった。

せめて、完治した後、彼女に礼をしないと。。。

その間、早戸は今までの楽しい経験を彼女に語った。

お話して彼女の名前がマリっていうことも知った。

彼女との時間は楽しかった。しかし。。。早戸はやらなければならないことがある。


 ここで一週間の時間がすぎた。

(もう、ここをでる時か。。。)

早戸は彼女に別れの挨拶をした。

「助けてくれてありがとうございます。明日、ここを出るつもりです。」

「。。。」

彼女は早戸の話を聞いて、こくりとうなずいただけ。

「この恩はわすれません。何か願うものがあったら、言ってください。」

。。。。。。。。。

少しの沈黙の果てに彼女は口を開いた。

「。。。いきたい。。。」

彼女の言葉の意味がわからず、早戸はもう一度問うた。

「すみません。もう一度言ってくれませんか?」

そして、彼女は決意したように力強く宣言した。

「私も一緒に旅したい。。。。。。!」

「え。。。と。それは。。。」

その言葉を聴いて早戸は一瞬戸惑ったが、彼女の本気の瞳をみて気が変わった。

「わかりました。。。。。。しかし。。。一緒に旅する以上、ある程度、私に従わなければならないこともあるでしょう。それでもよろしいんですか?」

早戸は本気で彼女にきいた。彼女もその質問に相応する返事をしてくれた。

「私は早戸さえいればいい。」

「?!」

早戸は彼女の意図がわからず、戸惑うばかりだ。しかし、彼女の意思は固い。なんといってもついてくるつもりだ。

早戸は仕方なく、彼女の同行を賛成した。

「分かりました。。。しかし、命は保障できませんよ?」

「うん。それでいい。」

そして、早戸と彼女との旅が始まった。


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