第166話 クロさん足腰が弱る

 最近、毎晩クロさんがブラッシングを催促してくる。

『桜雪…ブラッシングだ』

 2階のリビングでゴロンと横になる。

 夏は毛が抜けるのだろう、気持ちよさそうである。


 ある夜のことクロさんが階段の下で待っていた。

『桜雪、上に行くの?』

 僕の後ろを付いてくるクロさん。

 ふと後ろを振り返ると、身体を捩るように1段…1段上がって来るクロさん。

(そうか…クロさん、人間ならかなりの高齢だ)


「クロさん」

 抱っこしてリビングへ連れてきてブラッシングする。


『桜雪、次はコレで遊んで』

 クロさん紐をジッと眺める。


 紐を振るとメッチャ楽しそうに走るクロさん…

「走れるじゃない…クロさん」


 でも階段上るのは疲れるようだ。

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