第五話=あれは、遠い昔のこと

エリハイア王国―ハイム暦36年魔月妃日―


  長い一日は、まだまだ終わらない。


  王宮にて、エリハイア最強の戦士がハーモスの魔将軍と対峙する。

  二人とも自分の主のために己の剣を振るう。だが、エリハイアの戦士が一つ変なことを気づいた。

「おいおいグラン。お前、いつの間に『我が主のために』って言わなくなったんだい?」

「それは貴方とは関係ないでしょう、デュランダル。戦いの最中だ、集中しないと……」

  シュー、バキン!

「おっとと、あっぶねー」

「集中しなければ、今度こそ命を落としますよ。」

「わーってるって!」


  二人は昔からの親友で、よく切磋琢磨していた。それゆえに、デュランダルは気づいてしまった。

  奴の剣から、覇気を感じ取れなくなったことに。

  (おかしい……こいつ、本当にグラン?)

  キン!キン!と、剣と剣がぶつかり、火花が飛び散った。

  グランバールから変な力を感じたデュランダルはまた、手を止めた。

「どうした、デュラン。どうして手を止めた。」

「グラン、お前、何かに憑かれてる?」

「何を言っているのですか、我は平気だぞ。」

「いや、おかしい。いつもの口癖もないし、剣からも昔のグランを感じ取れない。どうしたんだ、一体。」

「変な事を言わないでくれますか?我は平気だと言っている。」

「……どうしても言いたくないようだね。ならば……」

  剣先に力を集中させ、力を解放しようとしてるデュランダルを見て、グランバールも集中させ始めた。

「これは、王への手向けだ!至天なる暴風(ケルサステンペスト)!」

「これが、我が忠義!至天なる冥地(ケルサスヘル)!」

  二人とも剣を振り下ろし、力と力がぶつかりあった。だが、デュランダルはちょっとだけ力を体にも留めた。その力によって、デュランダルは素早く動き回れるようになって、グランバールが力のぶつかり合いに集中している時に周りを通って、グランバールの頭を掴んだ。

「ッ!?卑怯だぞ、デュラン!」

「それはこっちのセリフだ!グラン、お前の中にある、もう一つの力はなんだ!」

  一瞬でデュランダルは分かった。彼の体の中には他の存在の力があると。

「これは、神からの賜物だ!」

「神からの賜物?お前はいつからそんな得体の知れないものに手を伸ばしてしまったのか!」

  その力は、今までのどうの系統にも含まれないことに、デュランダルも気づいた。

  その力は神の力だとしても、あんな得体の知れないものを受け入れるようなグランバールではないと、彼は思った。

「いい加減目を覚ませ!その神とやらの力のせいでお前は狂ったんだぞ!それを排除しろ!さもないと……!!」

  力を目一杯剣に注いで、デュランダルは本気を出した。

「さもないと、どうする?」

  グランバールも同じく、力を注いだ。これからは本気の力のぶつかり合いになると、二人とも認識している。


  片方は、親友の目を覚ますため。

  片方は、親友の口を閉ざすため。

………………

…………

……

「うっ!」

  見渡して、街中は死体だらけ。魔物の死体ならたくさん見たんだけど、人の死体は始めて。

  街中彼方此方で戦闘の痕跡があって、残された住民達の死体もあった。兵士だけではなく、民間人の死体まであることにはさすがに恐怖を感じた。

「ゆうしゃくん……」

「ど、どうしたんですか、師匠。」

「ふえぇ、アタシ、もう帰りたい……」

「はいはい、これ、どうぞ。」

「う、うん……」

  パンを一枚手渡して、そしてそれを齧った師匠はすぐに元に戻った。

「まったく……これだから魔族は……ひゃあ!」

  話がまだ終わらないのに、急に遠いところからまた爆発音が響いてきた。それに伴い、師匠はまた泣き言を言い始めてしまった。

「ゆ、ゆうしゃくん……」

  あれ、デジャヴ?とか思いながらも、私達は前へと進んだ。出来るだけ人助けがしたいがために。師匠の状態は……まぁ、しばらく放置でいいでしょう。

「ふえぇ……」

  裾を強く掴んで、師匠は私の後ろに付いてきている。必要なときにだけ食べ物を渡そうかな。


「あ、あれは?」

  目の前には二人の人影が。両方とも身長は高くないようだが、片方は男性でもう片方は女性なのははっきり分かる。

  女性の服には血が付いているのを見て、びっくりした。あんな女の子が殺しをしてたとか、ウソだと信じたい。


「君たち、ここは危ないから早く街から出て行きなさい。」

「は?」

  急いで近づいて呼び止めたが、女性は指示に従わないだけでなく、こっちに剣を突き立ててきた。

  こ、この子は、危ない人だ!

「誰に向かって告ってんの、あぁん!?」

「貴女は誰であろうと、ここは危ないことに違いない!いいからここから出て、避難しなさい!」

「はぁ……こりゃあまたとんでもない野郎に付き纏われたな。いいか、俺は……」

「あ!プリスティンちゃん!きゃっきゃっ!お久しぶり!」

「ちょ、まっ!」

  ぷ、プリスティン!?それ以前、師匠の知り合いとは思わなかった。

  でも、プリスティンって、まさか、姫様!?

「お、おい!やめろ!抱きつくな、クリアちゃん!」

「こ、これは、ど、どういうことですか、師匠!?」

「師匠!?クリアちゃんに弟子が!?って、こら!やめないか!」

  私と姫様?の付き添いが呆然として二人の女性がじゃれあうのを見ていた。

  良く見たら、姫様?の付き添い……まさか、魔族!?

「ねぇ、お兄さん。この方は?それと、お兄さんのお名前は?」

「お、おう……この人は私の師匠、クリア。どうやら姫様とは知り合いだったようだ。私はゆうしゃだ。よろ……しく?」

  良く見たら、この子、パジャマ姿なんですけど。しかもなんか、匂う。

「君たち、どこから来たのですか?」

「うーん、ボクとお姉さんはアリアから来たの。どうしたのですか?」

「アリア?」

「うん!ハーモス族が統べる国、アリア!」

「え、ちょ、え!?で、き、君は?君の名前は?」

「あ、そうでした。すみません。名前を聞く前は先ず自分の名前から、ですもんね。すみません。」

  ぺこり、ぺこりと、二回お辞儀した魔族の男の子。

  ま、魔族にしては、ちょっと礼儀良過ぎないですか?と思った。

「ボクは『ラルフ=ハーモス』!よろしくね、ゆうしゃお兄さん!」

  と、まさかの握手まで求めてきた。

「あ、あぁ、よ、よろしく。ラルフ君。」

  そして反射的に握り返した。魔族の手とは思えないほど暖かい手だった。

  ん?と、急に疑問が湧き出した。ラルフ=ハーモスって、どこかで聞いたような……てか、苗字はハーモスって、もしかして、この子は……!!

「ね、ねぇ、君。もしかして、ハーモスの魔王のあのラルフ=ハーモスですか?」

「うん!そうですよ。」

  こ、こんなのウソでしょ!?この子が魔王なのか!?

  しかも魔族とは思えないこの礼儀の良さ!この子、本当に魔族!?しかも魔王!?


「ぎゃふ!」

「いい加減にしろ、クリアちゃん!」

「は~い、てへへ。」

  どうやら姫様?が師匠の拘束から脱した。姫様?と師匠は昔から仲がよかったのようだ、でなけりゃあこんな遊ばなかったんだろう。

「もしかして、姫様、ですか?」

「あん?俺以外の姫が居るかよ、ボケ。」

「で、でも、どうして魔王と一緒なんですか?姫様は、王宮に居たはずなのでは?」

「あ?あぁ、話せば長くなるから聞くな。てか、一般市民が俺に質問するとはなぁ、ずいぶん度胸があるんじゃねぇか。」

「そ、それはありがとうございます。」

  お、おかしい。この子が姫様なのか?姫様はガサツだって聞いたんだけど。これほどとは思わなかった。正直言って、ガッカリした。

「まぁ、いい。おい、クリアちゃん。」

「うん?どうしたんですか、プリスティンちゃん。」

「公衆の場でちゃん付けはやめろ……まぁ、今はそんな時じゃないか。俺が居ない間に何が起きたのかを教えろ。」

「えーそれは人に教えてもらう態度なんですか?ねぇ、プリスティンちゃん。」

「いいから教えろ!」

「やーだよ、きゃっきゃっ!」

「この……!!」

  シュッ!シュッ!と、姫様がいくら剣を振り落としても、師匠には掠りもしない。あの姫様、私が憧れていたあの姫様が、まさか、こんな女の子だったとは……!!


  だが、今ならば……今の姫様ならば、隙だらけでいつでも殺せそう。


  ……はっ!何を考えているの!?昨日のあれ、あの神の託宣は間違っている!神様は私に姫様を殺すことを命じないはずだ!そもそもその理由がない!きっと何かの間違いだ!

「ちっ!相変わらず逃げ足だけは速いようだな。まぁいい。おい、お前、教えろ。」

「何、何をですか?」

「言っただろうが!俺が居ない間に何が起きたのかを!って、言っても分からないか。」

「姫様はここ数日王宮に居なかったんですか?」

「あぁそうだ。ちょっと出かけてたな。」

「そ、そうですか。具体的には何日くらい出かけたんですか?」

「あぁ、大よそ二日くらいかな。」

  二日くらい出かけた、のか……どこに行ったのかも聞きたいけど、今じゃないみたい。で、何が起きたのかは恐らく、魔族が攻めて来た理由を聞きたいんでしょう。だけど……

「申し訳ありませんが、私にも分かりません。何故魔族が今攻めて来たのかは、恐らく魔族に聞かなければなりませんかと。」

「ちっ!つっかえねぇな。まぁ、理由は大体予想が付く。」

  大体予想が付く?……てか、なんでラルフ君に聞かないんですか。

「ラルフ君は何も知らないんですか?」

「うん!知ってるよ!」

「で、原因は?」

「それは、おねえs……うう!!うーむう!!」

「お前は黙ってろ、ガキが。」

  話の途中で、姫様に止められた。

「理由は知ってるから、どうやって攻めて来たのを話せ。」

「そ、それは、私たちにも分かりません。急な出来事なので……」

「急な出来事?魔族が国境を越えたとかは聞いてねぇの?」

「はい、聞いておりませんでした。」

「……なるほど。まぁ、これから魔将軍に会いに行くから、お前はさっさと帰れ。」

  それを聞いて、師匠がまた姫様に抱きづいて、駄々をこねた。

「いーやーだー!プリスティンちゃんと一緒に居たい!」

  正直言って、こんな師匠ははじめて見た。

「お前は付いてきてもいいが、クリアちゃん。おい、えっと、名前なんだったっけ、お前。」

「私の名前はゆうしゃでございます。」

「あっそ。さっさと帰れ、ここは危ないから。」

「そうは参りません、姫様!危険だからこそ私は姫様に付いて参ります!」

「足手まといなんだよ、雑魚は。」

「ざ、雑魚!?……そうかもしれませんが、ここをお三方に任せるわけには参りません!女の子と男の子とポンコツを置いて逃げるなんて、私には出来ません!」

「ちっ!じゃあせめて自分の身は自分で護れよな、雑魚。」

  また雑魚!?た、確かに私は弱いけど。姫様には分からないはずなのに、どうしてそう呼んでるのでしょうか……

  ともかく、このまま師匠と姫様とラルフ君を置いて、自分だけ帰るのはどうしても出来ない。幸い、姫様の許可も得たし。これで大丈夫でしょう。

「ご安心ください!必ずや、姫様たちお三方も護って見せます。」

「ふん。」


  それからちょっと前進して、師匠はまた姫様に抱きづいた。

「おい、ゆ……なんだっけ。」

「私のことでしょうか。ゆうしゃでございます。」

「ちっ、気に食わねぇ名前だ。とにかく、クリアちゃんになんか食わせてやれ。これ以上抱きつかれたくねぇ。」

  気に食わない名前、か……そういわれてもどうしようもないけど。

  師匠に何か食べさせてあげてって言われても、持って来たパンはそろそろ尽きそうだし、どうするものか。

「なんもねぇのか?」

「パンはありますが、もう……」

  最後の一枚を姫様に見せたが、姫様はどうも気に食わない様子でした。

「ちっ、昔はあんなに裕福だったのによぉ、剣の達人クリアとは、名ばかりになってしまったのか。」

「それはどういうことでしょうか。」

「質問に答える義理はねぇと思うが。」

「も、申し訳ない……」

  昔は裕福だった?ならどうして、師匠はこうなってしまったのだろう。今でも食べれるかどうかの問題には至ってないけど、至って普通な生活を送っている。今日の出来事以外は。

「まぁいい、お前も一応クリアちゃんの弟子だからな、教えてやるか。」


………………

…………

……

エリハイア王国―ハイム暦28年?月?日―

  あれは、突然に訪れる日だった。


「お父様、あの子はどうしていつも一人ぼっちなの?」

  と、庭園でリラックスしている俺に対して、知らない貴族の娘が俺に指差しで隣に居る男性に質問した。

「こら、クリア!姫様に指差してはいけない!」

「別にいいんじゃねぇか、減るもんでもねぇし。」

「姫様も姫様です!そんな言葉使ってはいけません!」

「ちっ、一遍死んどけ、クソジジィが。」

「姫様!」

  リラックスしに噴水の横に座ってたのに、何でこんなどこのどいつかすら知らない貴族に説教されなければならないの?バッカじゃねぇの。

  まったく、気分を害してくれて……どうけじめつけてくれるのやら。


「ん?」

  そっぽ向いた俺に、あの子が近寄ってきた。

「アタシ、クリア!クリア=ブリエンティ!お姫様の名前はなんですか?」

「は?この国の姫なら俺しかいねぇけど?兄弟ならたくさん居るが、姉妹は一人もいねぇぞ。」

「きゃっきゃっ!ごめんね、プリスティンちゃん!」

  この、クソガキ!なめやがって!

「おい、死ぬ覚悟は出来たよね?」

「ふぇ!?」

  裾からナイフを取り出して、クリアって言う子の首に当てた。

「ふ、ふえええ!お父様!!助けて!」

「ひ、姫様!どうか、お許しを!あなたも早く謝りなさい、クリア!」

「ふええええ!ごめんなさい!ごめんなさい!!」

「ちっ。それだけで許してもらえると思うなよ。明日、この時間またここに来い。俺の力を凌駕できれば、許してやらなくもない。」

  どうも気に食わないから、決闘を申し込んだ。

  相手は俺より背が高いのに、ずいぶんと子供っぽいじゃねぇか。見た感じ、俺より年上なのに。そういや、俺、今年で10歳だっけ。良く覚えてない。

「どころで、アンタ、年はいくつよ。」

「あ、アタシ、こ、今年で14歳だよ……?ご、ごめんね、プリスティン様……」

「14歳の癖によう泣くわ、まったく。」

  14歳の癖にずいぶんと子供っぽいことしているし……俺も人の事言えないが。


  庭園を後にして、俺は部屋に戻った。悔しいけど、実はちょっとだけあの子のことが羨ましかった。

  俺にも、お父様って呼べる人が居るのだろうか。

  生まれてからの記憶はほとんどない。一番古い記憶は、俺がここに来た時だった。

  どうやら俺の母親はここ、エリハイアの最強の女勇者である「エリス=ユーテスティン」みたい。だが父親は誰なのかは覚えてない。さらに言うと、そもそも俺は王家の者ではない、エリスが外で作った子供で、ハイムおじさんとは旧友だったから引き取ってもらっただけだった。

  俺の体の中には王族の血が流れてないことを、兄弟たちにいつも嘲笑されている。そのせいでこの性格になったのかもしれない。


「お母様……」

  ベッドで横になって、顔を枕に埋め、必死に涙を堪えようとした。

  お母様が居ればどれだけ素敵な人生を送れるんだろう。お母様さえ居れば、俺はここで笑われなくてもいいかもしれない。お母様さえ居れば、俺には頼れる人が出来るかもしれない。お母様さえ居れば、俺は王族でなくてもいい、普通な生活がしたかった。

「プリスティン、出て来てくれないか?」

  この声は、確か……アイリック兄の声だ。アイリック兄は比較的に俺を普通に接してる。ちゃんと俺を普通の人として接してくれてる。俺を、嘲笑しない兄。

「どうかしましたか、アイリック兄さん。」

  それに答えて、俺は扉を開いた。そして、その後ろには……!!


「ど、どうかしましたか、クリーク兄さん、サリーク兄さん?」

  アイリック兄さんの後ろにはリーク兄弟が居る。

「おい、プリスティン!お前いい加減にしろよ!」

「キャ!」

  俺はクリークに殴られた。

  どれだけ嘲笑されても、どれだけ差別されても、どれだけいたずらされても、絶対に傷をつけられなかったのに……!!

「クリアになんてことをしてくれるんだ!あの子は俺の婚約者だぞ!」

「こらこら、ク。あの子はボクが貰うって言っただろう?」

「それはまた後で話そうぜ、サ。今は、こいつのほうが問題だ!」

「あぁ、そうだな。」

  二人の兄の眼が怖い。

  え?クリーク兄さんの婚約者?どういうこと?初めて聞いたんだけど?

「お前、クリアになんてことをやったんだ!今すぐ謝って来い!」

「い、いやぁ!放してクリーク兄さん!」

「知るか!お前が……!!」

「キャッ!!」

  もう一度、クリーク兄さんに殴られた。

「謝る気になるまで……!!」

「い、いやあ!」

  さらにもう一度。

「俺は殴り続ける!」

「やめて、助けて、アイリック兄さん!」

  アイリック兄に助けを求めたが、アイリック兄はただ、小さな声で言っただけでした。

「今度ばかりは……ごめんな、プリスティン。」

「――!!」

  絶句した。あのアイリック兄が、俺のことを助けてくれなくなったことに。

  せめて俺を放してもらうようにクリークに頼んで欲しかったというのに、アイリック兄は、俺を助けてくれなかった。

「アイリックに頼んでも無理だかんな、なんせ、アイリックもクリアのことすっごく気に入ってるんだよ。」

「ほ、本当ですか、アイリック兄さん?」

「うん、本当だよ。だから、謝ってきて欲しいんだ。」

  どういうこと!?アイリック兄も!?あのクリアって子を……!!

  許せない……!!俺からアイリック兄を奪うのか……!!

「謝ってきてくれて、もらえないだろうか。」

「……」

  どうする?アイリック兄の話を聞く?

「お?だんまりか?なら、これでどうだ!」

「ッ!!」

  クリックの拳が頬にまた当たった。さっきまで三発殴られて熱かった頬なのに、ほんのりひんやりしてる。どうやら力を入れて殴り始めたみたい。クリーク兄さんの力ってたしか、煌く雪崩(シャイニングアバランシェ)だったっけ。

  アイリック兄のために謝るか?でも俺、何か間違ったことしたか?

「おい、そろそろ……」

「なんだよ、止めるなよアイリック!」

  クリークとサリークのことはどうでもいいんだ、ただ、アイリック兄の話だけ聞けばいいんだ。

  ……そうだ、これも、アイリック兄のためだ。


「……分かったよ、謝りに行く。」

「ふん!」

  ドン!と、俺を力一杯に床に投げ捨てた。背中は痛いが、今はそんなのどうでもいいんだ。

「明日、クリアに聞くからな。もし、謝ってもらえてなかったら……分かるよな?」

「……はい、分かってます。」

「ですが。」

  今度はサリーク兄さんが近づいてきた。

「ボクにも、一発、殴らせてはくれませんか?お父様の隠し子よ。」

「グハッ!?」

  返事をまだ出せていないのに、腹に激痛が訪れた。サリークは力を足に入れて、俺の腹を強く踏み潰そうとした。

「ひゅー!さすがサ!やることえげつねぇな!」

「それほどでもないよ、はははっ。」

「……」

  アイリック兄だけ、去る時に俺に一目をくれた。それが、意識が消える前に、最後に見た光景だった。


「……うん?」

「やっと目を覚ましたか、姫様。」

「……?」

  目の前に居るのは、金髪赤眼をして、体に白いローブを覆われた男。

  彼の体の回りに白いオーラみたいなものが飛び混じっているような気がするが、あれは一体なんだ?

「あなたは……?」

  急いで起きてお辞儀しようとした。似合わないと思っているが、なぜか体がそうしろと言うことを聞かずに。

「起きないでくれ。貴女の体は、そんな事を許すわけがないので。」

  確かに、体中に激痛が走っている。サリークのあの踏み潰しにこれだけの痛みをつけられるとは思わなかった。

「貴女、明日……謝りに行くってねぇ。」

「うん……どうした?」

「貴女に謝る義理はないよ、だからさ。」

  彼は、俺に耳打ちをした。彼の言葉が体を凍りつけて、心を黒く染めようとした。

「クリアって子を、殺そうよ。」

「……!!」

  まるで夢だった。男は、急に消えていなくなった。

「クリアを、殺す?」

  その思いが、一気に脳内を充満した。


  午後三時くらいだろう、意識をなくしたの。時計を見れば、今は午後11時になった。腹は減っているが、俺には食べ物を貰う資格はない。

  そもそもメイド達は今爆睡しているんでしょう。

  俺はまた目を閉じて、眠りに落ちた。


  そして翌日、約束の時間に、約束の場所へ、私は剣を持って向かった。

  クリアが勘違いして剣を持って来てないかもしれないので、もう一本の剣も一緒に持って来たが、案の定、彼女は俺が言ったことを理解できなかった。

「け、剣?ど、どうして?」

  クリアの後ろには昨日俺に痛みをつけた二人とアイリック兄が居る。昨日は終わったあとに聞くって言っていたのに、まさかついてきたとは……これは最悪四対一になるかもしれない。

「昨日言っただろ、決闘だって。」

「え、ええ?決闘?どうして?」

「お前が俺に勝ったら、素直に許してやるから。剣を拾え。」

「お、おい!隠し子!いい加減に……!」

「クリーク、お前は黙ってろ。」

「お前?アンタ、誰に向かって……!!」

「やめなさい、ク。隠し子なんかにクリアは負けないから、大人しくしてくれ。」

「ちっ!」

  サリークに止められて、引っ込んだ。

「で、でも。これ、本物でしょ?」

「そうさ、本物さ。だから、俺に勝ちたいなら俺を殺せ。」

「え!?そ、そんな、出来ないよ!」

「出来なければ俺に殺されるだけだ。早くしろ、剣を持たない人を切りたくない。」

「……それでもーー!」

  シュー!と、先に一撃を見舞った。だがこれはただの警告に過ぎない。

「早くしろ。」

「……わかりました、では……」

  剣を拾って、戦闘態勢に入ったクリア。良く見たらいい目をしている。その目には戦いの理由はなくても、戦うことに決心した。


「おらおら!!」

  シュッ!シュッ!キン!カン!

  四連撃を見舞って、先の二回は回避され、後の二回は反された。

  手が痺れる。それだけ俺は戦いに慣れてない、それだけ相手は戦いに力入れてる。

「クッ!」

  カン!カン!ギー!

  今度は三回見舞われた。先の二回は反し、三回目は対峙した。

  シュッ、タッ!後へ跳び、ちょっと距離を伸ばし。

  シャ!助走をして、切りかかった。


「なかなかやるじゃねぇか、クリア。」

「あなたこそ、プリスティン。」

  お互いを褒めあった。そして次の瞬間、脳の中から昨日の男の言葉が飛び出した。

  「殺せ」と、俺に囁いた。

「……!!やめろ!」

「どうかしたのですか?」

  一瞬だけ意識が飛びそうだったが、急いで戻した。それを見て驚いたクリア達。

「いや、なんでもない。」

「……プリスティン、目が……?」

「目が?」

  剣を鏡の代わりにして自分を見つめた。目が、怪しく赤くなってる。

  自分の錯覚だと思って、目を閉じてゆさゆさしてからもう一回見てみた。今度は元の色に戻った。元々赤だったが、さっきの赤とは違う。今の赤は炎の赤。さっきのは、血の赤だった。

「大丈夫?」

「あぁ、心配するな。さ、続くか。」

「……うん、分かった。」

  再び構えて、剣を交し始めた。


………………

…………

……

「……!!やめろ!」

  急にプリスティンが悲鳴を上げた。ど、どうしたんだろう、プリスティン。

「どうかしたのですか?」

「いや、なんでもない。」

  何でもないと言っているけど、強がってるのはバレバレです。

  空気に纏わりつくこの奇怪な雰囲気……一体……?

  改めてプリスティンを見つめて、気づいてしまった。プリスティンの目が、変な赤色になった。

「……プリスティン、目が……?」

「目が?」

「大丈夫?」

「あぁ、心配するな。さ、続くか。」

「……うん、分かった。」

  あれは……やっぱり調べたほうがいいのよね?でも、どうやって?

  昨日のあれでプリスティンを怒らせたから、今ここで感知(サーチ)させてって言っても聞いてくれないでしょう。

  昨日は本当に、すまなかった。プリスティン。別に笑ってるつもりはなかった、ただ、笑って欲しかっただけだった。……結果的に怒らせたけどね。

  今日も謝るつもりできたのに、なぜか決闘になった。後の三人は外野で騒いでいるが、気にしない。

  あの三人はプリスティンを虐めてたことを、デュランダルさんから聞いた。その癖によくもまぁのこのこと……アタシも人の事言えないか。

  再び剣を構えて、剣を交し始めた。

  シュッ!シャッ!キーン!!ギーーー!!

  一回目は避けた、二回目は掠った。

  三回目は弾かれた、四回目は互角。

  プリスティン、外から来た訳もなく姫になった子。貴女はいったい何者?剣の筋は決して悪くないが、どこで学んだ?

  この子の剣術は危険すぎる。噂では王城に送られてきたらエリス様がすぐ居なくなったって聞いたから、恐らくエリス様に教えてもらったのではない。ならば、どこで?

  一撃一撃が死角から来て、正確に弱点をつけようとする。幸い、お父様から教わっていただいたこの剣術はまさにこんな敵に向けて作られたからまだ無事だけど、一般人ならとっくに死んでた。

「くっ!」

  ちょっとだけ力を剣に注入して、強く反撃した。

  カーン!と、プリスティンの剣を弾けた。今だ!今なら感知できる!

「させるか!」

  速い!

  素早く受身を取って、後へ跳んだ。残念!

「さっき、何しようとした?」

「ちょっと、感知させてくれないかなーって……」

  迷わず口に出した。

「感知?なにそれ?」

「え、知らないの?」

「うん。」

  そして相手も素直に頷いた。

  マジですか、知らなかったんですか、姫様。

「感知の魔法はまぁ、簡単に言うと、相手の状態がわかるような魔法だよ。」

「へぇーで、俺に使ってなにがしたいの?」

「さっき目が変な赤色になった原因、知りたくないんですか?」

「……知りたくねぇな。」

  嘘をついた。これはなにか心当たりがありそうですな、姫様よ。

  代わりに回りの空気を感知して手がかりを……?いや、その奇怪な感覚はもう消えた。もう無理だ。だから、姫様の体に直接聞かなければならない。

  最悪の事態を免ればいいんだが。昨日の夜、お父様に言われた言葉はいまだに心の中に響いてる。


「明日ちゃんと謝って来い。あの姫様を怒らせるな。」

「え、どうしてですか?お父様。」

「……知らなくていい、ただちゃんと謝ればいいんだ。」

「いーやーだ、教えてくれないと謝らないよ?」

「はぁ……本当、お前って子は!」

「いいじゃないか、旦那様。教えてあげなよ。」

「マーガレット、お前、簡単そうに言うな!怒らせたらこの国が滅ぶかもしれないんだぞ!言えるわけがないだろうが!」

「あーあ、お父様言ったーえ?国が滅ぶ?どういうこと?」

「ちっ!とにかく、国が滅ぶんだ!いいから今日はさっさと寝て明日ちゃんと謝れ!」


  ……国が滅ぶ?さっきまでそんな感じはしなかったが、あの目を見た瞬間悟った。あの力が姫様の体を支配したら、この国は恐らく……ただ、あの力の源が分からない。それに、どうして今までと違って、こんなに強く感じれるんだ?

  今まで何度も何度もこの力を追って、お父様と世界中旅してたけど、姫様についてるのが今まで一番強い力だった。

  一体、姫様に、なにか?


「あーもう!いいから感知させてくれ!頼むから!」

「いーやーだ!誰がアンタみたいなどこから来たのかすら分からない泥棒猫に魔法を使われるんだよ!」

  え、ど、泥棒猫!?なんだって!?

「はぁ!?泥棒猫!?アタシいつしたの!?」

「だってアンタは俺の大好きなアイリック兄を騙して、婿入りさせたいんだろ!」

「知るか!てか、後の三人の中の一番貧弱そうな男の子のことでしょ?あんなもん要らないわよ!」

「なんだって!?俺のアイリック兄になんの不満があるってんだよ!」

「そもそもお前がちゃんと躾けてないから目移りさせたんじゃないんですか?ねぇ、どうなのよ!」

  てか、あのモヤシ男にも狙われてたの?ちっ!くだらない!どいつもこいつもよわっちい癖に!

「うるさい!俺とアイリック兄は別にそういう関係じゃねぇよ!」

「それはよかったな!あんな貧弱そうな男と一緒に居ても不幸になるだけだからな!」

「お、おい……二人共、そろそろ……」

「お前は黙ってて!」/「アイリック兄は黙ってて!」

「ひぃ!はい!」

  あたし達二人を止めようと、モヤシ男が入ってきたが、即刻断った。良く見たら、モヤシ男気まずそうな顔をしていて、隣にいる双子の兄弟は必死に笑いを堪えている。

  そもそもアタシとこんな奴は別になんの関係もないし、関係を持ちたくもないし!

「不幸になってもいい!ただアイリック兄と一緒に居たいだけだから!さっさと出てって!この国から出てって!」

「不幸になろうとするな!!」

  なんだよ、もう、なんなんだよ!!

  どうしてこの子は不幸になりたいんだよ!!

「幸せになりたくないの!?」

「なりたい!だけど、アイリック兄がーー!!」

「なりたけりゃあなれ!出来なきゃ頑張ってなれ!頑張っても幸せになれなかったら……!!」

  剣を地面に刺して、大声で言った。言ってしまった。

「アタシのところに来い!必ず幸せにするから!!」

「ッ!!」

  ……


  って、何言ってんだよ、アタシ!バカじゃないの!?アタシに何の力があって姫様を幸せに出来るんだよ!バカバカバカ!

  てか、姫様も何で黙って見ているんだよ!早く突っ込んでよ!恥ずかしいじゃないか!

「本当に、幸せに……」

「い、いや、それは、その……」

「幸せに、して、くれるんだよね?」

  聞いてないしー!この子、マジで、なんなの!?さっきはあれほど殺気を立てていたのに、今は泣きついてるよ!?しかも、アタシに幸せにしてもらうって!?いや、言ったのはアタシなんだけど、それとは違うでしょ!?

「いや、それは、アタシじゃあ……」

「して、くれないの?」

  地面に膝をつけて、もっと泣き出すようになった姫様に対して、アタシには成す術がなかった。

「するする!するから、泣かないで、ね?」

「う、うん……ありがとう、クリアちゃん……」

  って、何様なのよおまえ!いや、姫様か……とはいえ、急にちゃん付けて呼ぶようになったのはなんで?アタシの許可もないのに?

「どういたしまして、プリスティンちゃん。」

  そんな姫様を抱きしめて、アタシはプリスティンに幸せを誓った。お返しとして、プリスティンにもちゃんを付けた。右手をバレないように、頭の上に乗せて、感知を使った。

  プリスティンちゃんの体内にある変な力は、間違いなくアタシとお父様が追っているあいつの力だった。だが、少しつづ消えている。恐らく元の主から長く離れたからだろう。にしても、この力の主は一体、なにがしたかったのだろう……ますます分からなくなった。

  時には動物に、時には植物に、時には囚人に、時には平民に、時には、姫様に……あの人は一体、何がしたいんだろう。

  いつの間に、後に居たはずの三人が消え、アタシとプリスティンちゃんだけが現場に残された。

  それからしばらくの間は毎日プリスティンと一緒に遊んでた。たまに彼女の兄に阻まれることもあったが。


  すべてが美しくて、すべてが優しくて、そんな日常とはまったく関係がないように見えるあの日が、突然訪れた。アタシ一家が、エリハイアから引っ越す日が。

「おい、クリア。次の被害者が見つかったぞ。」

「えー、もう出発?まだぷり……姫様と遊んでいたかったのに……」

「こら、ワガママ言わないの。ほら、はやく姫様に別れを伝えてきて。」

「……はいー。」

  まぁ、プリスティンちゃんの脅威は去ったし、大丈夫じゃないかな?プリスティンちゃんを幸せにはできなかったけど、許してもらえるんだろう。


………………

…………

……

「これで分かったんだろ、クリアちゃんは貴族の娘だってことを。それなのに今はこんな貧乏になったとは……」

「いやープリスティンちゃん見ない間にずいぶん大きくなったねー」

「やめろ!クリアちゃん。お前、郊外に住んでるのは知ってたが、お前が会いにこなかったから俺も会いにいけなかったのは知ってるんだろうな。」

「へへ~しーらない!」

「この……!!」

  と、ま、まさか師匠は姫様の友達だったとは、これはすごく驚いた。

  道理で初めて師匠に会ったとき、師匠にする原因を伝えたら「あはは!なら、アタシがちゃんと鍛えてやらなくてはダメだね!あ、あっはははは!!あいつを慕ってる男がいるとは……ぷ、ぷはははは!!」って。

  噂によると、姫様は昔からガサツで、自由気ままだったってことを、姫様の口から直接聞けるとは本当に思いもしなかった。

「見ての通り、俺はちっとも女らしくねぇだろ?だから男は寄れねぇんだよ。当時唯一好きだったアイリック兄も今やカリエヘイムの王だ。もう救いようがねぇ。」

「うーん?それは違いますよ、プリスティンちゃん。」

「何が違うってんだ、カリエへイムの姫と結婚したんだろ?」

「ううん、違うの。姫様のことが好きな男って、案外、近いところにいるかもしれないよ?」

「居る訳ねぇだろ?寝言は寝て言え。」

  コツン!と、姫様に重たい拳を振り下ろされた師匠を見て、私はちょっとドキッとした。

  まさかここでばらすとは……ポンコツ状態の師匠はなかなか動きが読めない人です。

「っと、話が長くなったな。おい、雑魚。食べ物をクリアちゃんにやれ。」

「え?だから、もうパンが……」

  もう一度姫様にあの一枚のパンを見せた。

「それでもいいんだろ?噛む事さえできればクリアちゃんは元に戻れる。ってか、なんでこれしか残ってねぇんだ?」

「そ、それが……いくら戻しても戻したって、その後すぐに来てしまう爆発音で師匠が……」

「ちっ!つっかえねぇな、まったく。しょうがない。」

  と、ポケットから何かを取り出した。

「これでも食え、クリアちゃん。」

「うん!はーむはむ……」

  姫様がポケットから取り出した干し肉を噛んで、師匠は元に戻った。師匠が戻れたのはうれしいが、何故姫様は最初からそうしなかったのでしょうか。

「ごめんね、プリスティンちゃん。どうも最近、ポンコツ化が激しいようで……」

「いいよ、別に。慣れたことだし。」

「慣れっ、うぅ、さりげなくひどいこと言われてるような気がするけど、気のせい?」

「気のせいじゃねぇ、わざと傷つけようとしたんだ。」

「ええ!?どうして!?アタシが何をしたの!?」

「なんで出て行った時に、出て行った当日に教えてきたの?次あんなことしたら絶対殺すからな?」

「うっ、ごめんなさい……でも、急だったから……!」

「それでもだ!俺達は親友だろ?事前に知らせてもらえないと勘違いしてしまうだろうが!心配してたぞごら!どうケジメつけてくれるんだ?」

「ふ、ふええええ、ごめんなさい、プリスティンちゃん!あたしが悪かった!ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさい!ふえええええ!!」

「あーあ、お姉さん、どうしてこの人を泣かしたんですか?」

「アンタには関係ねぇから黙ってろ。」

「確かに関係ないけど。」

「ならッ!」

「でも、お姉さんの口から心配ってのを聞けて、うれしかったよ、ボク。やはり、お姉さんは人族だなって。」

「おい、やめろ!」

「え、どういうこと?姫様が?人族じゃないと言ってる様な……?」

「余計な詮索はするな、この雑魚が。ガキ!お前ちゃんと言って良い事と悪いことをちゃんと分かれ!」

「はーい、わかりました!」

「ちっ!まったく……」

「ふえええええ!!ごめんなさい、プリスティンちゃんごめんなさい!!」

「お前もいい加減黙れ!泣くな!これでも食って元に戻れ!」

  姫様、魔王君、師匠の三人が、楽しくワイワイやってるのを見て、心の中がほっこりとした。

  あの姫様は横暴だけど良い人なのは国民なら知ってるはずだ。だから、こんな笑顔で笑ってる姫様を見て、私は心からうれしく思った。

  ……ふっと思ったけど、私、浮いてないですか?……気のせい、だよね?

(つづく)

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