第10話 変態

羽島が俺の家に泊まる事になった。

だが.....何というか冷や汗が止まらないのだが。

何故かって言われたら.....学校一の美少女がうちに泊まるんだぞ?

しかも無口でどんな男にも決して惚れなかった少女が、だ。


俺は.....赤面するしかなかった。

何が起こっているのだ?

羽島が家になんて.....そして俺の家に来るなんて。


こんな奇跡、有り得るのだろうか.....。

俺はそう思いながら台所で内心、心臓をバクバクさせていた。


目を回す様な感じだ。

羽島がこの家に泊まる.....泊まる、と。

嬉しさも有れば.....何が起こるか分からないので.....恐怖でも有る。


でも今は楽しい。

羽島が泊まるとなって、だ。

そう思って鼻歌交じりに台所で調理していると。


花梨が唖然として横でドン引きしていた。

俺は( ´∀`)という感じの目で花梨を見る。


「いや、お兄ちゃん。.....キモいんだけど」


「.....酷いな何を言う。花梨。俺はキモく無いぞ。ただ.....複雑に考えているだけだ」


「.....でも.....目が輝きすぎだから.....」


「.....お前.....兄貴にそれは無い」


いや、ドン引きし過ぎだろ。

俺は苦笑しながら花梨に話す。


因みに今、羽島は花凛と一緒に風呂に入っている。

母さんについては仕事に行った。

俺は何時もの日常に、大根の皮を剥く。

すると花梨が言葉を発した。


「でもお兄ちゃん。変わったね。以前と違って.....」


「.....は?何が変わったんだ?」


「.....そうだね.....変わったと言えば.....性格かな」


「.....え?そんな変貌するもんか?人って」


でも何か変わったんだよ.....と花梨は苦笑交じりに言う。

俺は?を浮かべつつ.....大根を置いた。


『彼女は.....複雑なんだ』


水谷さんの言葉のせいかな。

変わったのは.....。

思っていると、風呂場からガラガラと音がしてきた。

どうやら羽島と花凛が上がった様だ。


「.....羽島.....上がったみたいだな」


服は用意していた.....が?

次の瞬間、バタンと音がした。

その事に俺は真っ赤に、本当に真っ赤に赤面した。


築何十年も経っている為か。

古びた扉がバタンと倒れて目の前に素っ裸の羽島が現れた。

当然、包み隠す構図とか無い。

な、なぁ!!?


羽島は俺の姿を見て自分の体を確認する。

そして、ッ!!?、と赤面した。

花凛も真っ赤になり悲鳴を上げそうになっている。


「きゃああああ!!!」


「すまん!ふ、風呂場のドアが古いから!!!」


「兄貴のバカァ!」


古いボロ家だから.....勘弁してくれと早口で言い訳したが。

洗面器ケ○ヨンが飛んで来て。

そして俺はそのまま後ろに撃沈した。


でも良い物が見れた.....。

そう思っていると花梨が覗き込んできて眉を顰めた。

汚物を見る様な目をしている。


「お兄ちゃん。良い物が見れたとか思って無いよね?変態」


「.....誓ってその様な事は無い」


まぁ嘘だが。

花梨の眉を顰めた怖さに頷いてしまった。


それから扉を直す為にだろう、花梨は行った。

俺は5分ぐらい経ってから立ち上がる。

そして風呂場から出て来た羽島を不安げに見ると。

やはり汚物を見る目をして。


「.....嫌い」


と言った。

俺は衝撃を受けて涙を流してその場で気絶する。

は、羽島に.....嫌われた.....と。



「お兄ちゃん!」


「兄貴!」


遠く、思っていると。

その様な、呼び掛けに俺は、ハッと気が付いた。

そして頭に手を当てて起き上がる。


「.....お兄ちゃん。ショックだからって気絶するのは.....」


「兄貴.....」


二人共に顔を引き攣らせ、溜息を吐く。

いや花凛の所為だろと思いながらも言わなかった。

ショックも有るけど。

羽島に言われたショックが、だ。


「.....ショックだから.....な」


「三朗くん」


その様に思っていると羽島がやって来た。

パジャマ姿の.....羽島が、だ。

俺はその姿に赤面する。


「.....な、何だ?羽島」


「.....えっと.....エッチ」


羽島は赤面でモジモジしながら眉を顰めて話す。

グワァ!

と俺はそのままぶっ倒れた。

そしてまた気絶する。

妹達の呼び掛けも.....あまり通用しなかった。


そんなこんなの時間で。

少しづつ過ぎて行く。

俺が気絶しなければもっとゆっくりだったが。

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本は好きですか、私は好きです。 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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