第5話 告白

羽島遊。

彼女は.....謎が多い。

人を避けて、男子からの告白を断り、ひたすらに本を読む。

俺はそんな謎多き彼女に惹かれていた。


そんなある日、俺と羽島の関係が変わって行った。

それは何かと言うと、俺に羽島が近付いて来たり羽島が謎の行動をしたりして。

俺にまるで接近して来る様な行動を.....しているのだ。


不良から救った日から、だ。

俺はその行動に、こう考えた。

お礼の為にやっているのでは無いか、と。

しかし、羽島は否定した。


『私は.....お礼の為に行動をしていない』


そう、断言の様に否定したのだ。

俺はその言葉に少しだけ胸をドクドクと鼓動させながら家まで帰って来た。

まだ.....ドキドキする。


なんでドキドキしているのかと言えば。

遠回りな感じだけど、羽島の言葉を直接で訳せばこうなるだろう。


『私は貴方と一緒に居たい』


その様な感じで、だ。

いや、勘違いかも知れない。

だってあの羽島だから。

気持ち悪い訳しかた、かも知れない。


だから有り得ないと考えているのだが.....でも。

でもどうしても.....あー!

悩み深い。



その日の深夜。

テスト勉強をしながら、俺はスパイクを見ていた。

そして、頬を叩きながら、ヨシッと言って。

それから勉強をした。


スパイクも磨いた、後は用意だ。

それからテストで赤点を取らない様にしたら.....完璧だな。


「.....」


でも、羽島との.....その、あの昼食と言い.....その。

えっと、うん。

駄目だ、勉強に集中出来ない。

羽島がもしかして俺を.....と思ってしまうと.....。


ピコン


「.....高島?」


(明日、ミーティングとか大丈夫だよな?書類)


(おう、大丈夫だ)


(.....そうか。.....あー、んで、別の話なんだけど)


何だ?

俺はその様にメッセージを送る。

すると、メッセージが帰ってきた。

そのメッセージに俺は見開く。


(この前、うっかり目撃したんだけどさ、羽島。アイツ.....男子生徒に断りを入れていたんだけどさ.....その、好きな人が居るから断っていたぞ)


(.....ハァ!?)


(.....まぁお前ならそう言うと思ったがな。.....でも.....何だか.....いや、何でも無い)


何だコイツは。

気になる様な事を言いやがって。

俺は問い詰めたが、答えが無かった。


ダチか本当に。

全くもう、と思いながら深夜1時になったので寝る事にした。

それはもう、悶々とした眠りで。

羽島の告白の事が気になって仕方が無くて全然寝れなかった。



「おっは.....ってお前、睡眠不足か?相当にクマが.....」


翌日の事。

寝不足で歩いていると高島に声を掛けられた。

俺は高島の方に眠気眼を向ける。

この野郎。


「.....まぁな。お前のせいだ」


「.....あー.....なる。スマンな。ハッハッハ!」


大笑い。

能天気か、この野郎。

本当に不安だったんだからな。

俺はそんな感じで若干の怒り交じりで見つめる。


「.....そういや高木は?」


「アイツ?アイツなんか寝坊だってよ」


「.....またかよ。遅刻日数、大丈夫なんか?アイツ」


一応にアイツも友人だからな。

と思いながら歩いて校門に辿り着くと。

驚愕して高島が指差し出した。

何だと思いながら目の前を見ると。


「.....おはよ」


「.....は、羽島!?!?!」


朝から相当に可愛いな!

まるでダイヤモンドかと思った。

なのは良いけど、確か羽島は何時も早めに登校していたよな?


わざわざ教室から何をしに来たんだ羽島は?

周りの生徒達がガヤガヤと集まっている。

俺は周りを見ながら、ヒソヒソ聞いた。


「羽島。どうしたんだ?」


「.....はいこれ」


周りの視線を全く気にしない様子で俺に何かを渡してくる。

その物品は.....キャラモノのお弁当。

つまり、お弁当だ。


「.....弁当?」


「.....そう。.....じゃあまた後で」


ハァ!!?

と言う感じで俺に注目が集まる。

何故かと言われたら弁当を渡す事自体が.....有り得ないだろと言う感じだから。


「.....教室で待ってれば良いのに.....ん?」


「どうした?飯島」


「.....いや、何でも無い」


少し重いなと思いながら見ると、手紙と本の様な物が入っている。

俺は?を浮かべながら見つめ。

後で開けようと思い仕舞う。


取り敢えず、今は逃げるべきだ。

この視線の感じから、だ。

俺と高島に余りに注目が集まりすぎている。



2時限目が終わって中休み。

男子トイレに慌てて入る。

俺は心臓をバクバクさせながら、そこで本と手紙を広げる。

羽島からの手紙、何が記載されているのだろうか.....。


(三朗くん。羽島です。こうして手紙をしたためるのは貴方にどうしても言いたい事が有ったからです。私は素直になれないから.....こうして手紙を渡します。私は.....貴方が不良から救ってくれた事が素直にとっても嬉しかったです。私の家族も私の知り合いも皆んな.....ヒーローじゃ無いから.....。だから三朗くん。私は.....貴方の事が.....好きです。私にとって貴方は.....ヒーローです。.....でもだから付き合ったりしたりして外に明らかになると、少し厄介なので私との関係はこのままが良いです。私は.....貴方を信じています。貴方ならこの事が分かっているだろうと思います。私は貴方にこの事を伝えたかった.....ので、ようやっと言えました。有難う三朗くん。羽島より)


正直言って.....涙が出た。

そして、涙を伝わらせる。

それは嬉しいからじゃ無い。

苦労が.....見えて来たから.....だ。


「.....羽島.....」


俺は汚い天井を見上げて.....少し深呼吸をした。

それから.....手紙を直して、手の本を見る。

本は.....俺が読み易い様な感じの.....本だった。

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