第2話 どこかで誰かも書いている?

 なにかを書いて誰かに読んでもらおうとすると、必ずちょっとした“ためらい”を覚える。


 世界中の人たちが、ブログやSNSで、いろんな、いろんな、いろんなことを書いている。これだけ情報量がケタ違いだと、自分が何を書いても、すでに同じようなことを、どこかで誰かが書いているんじゃないか、という疑念・不安にとらわれてしまう。


 新味のない文章を公表するのは避けたいが、世に出回るすべての情報をチェックするなど不可能だ。AIならできるのだろうか。


 というようなことも、きっと、どこかで誰かが書いているのだろう。というようなことも、きっと、どこかで誰かが…以下、傷もののレコードのように無限リピート(「傷もののレコード」って、どの世代まで通じる言葉なんだろうか)。


 しかしまあ、気にしていたらきりがない。どこかで誰かも書いていることだったら申し訳ないが、私が経験したり思ったりしてきたことは、私のものであることには違いない。あまり気にしないことにして、書いたものは公表することにする。


 長い言い訳のようになってしまった。


 次回から、昭和と平成の個人的な記憶から紡いでいく言葉たちと、しばしおつきあいいただければ幸いです。


 最初は、「本の匂い」について。

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