第26話(最終話) 大家さんとの百合『的』日常

 いずみとあさひにとって、重要な日が訪れる。

 十六夜が勝手に決めたお見合い話は、一人歩きをして2人の妹たちが自分の思いに決着をつける結果となっていた。

『私も……。欲しい……』

 2人の妹が自分のために身を引いたことを思うと、いたたまれない気持ちになる……

 それと同時に、あやのがしていたお揃いのヘアピン。そして、みやびも数ヵ月前から比べると、自分から動くことも増えてきた……

『これも、あさひちゃんの影響かしら……』

 いずみの中で、少しずつ。そして、しっかりとあさひへの思いが募っていく……

 それまで、やきもちと好きということを、ここまではっきりと意識したことがなかったいずみにとって、胸の奥が締め付けられる感覚を覚えていた……


 いつものように、朝の準備をするいずみは、いつもと同じ……しかし、全く異なる気持ちに、胸が締め付けられていた……

『これから……お見合い、するのよね……』

 今まで、当たり前のように毎日を暮らしていたあさひとのお見合い。

 十六夜が勝手に決めたこととはいえ、複雑な思いに包まれる。

「お、おはようございます」

「おはよう。あさひちゃん」

 2人の微妙な距離感は、同席した姉妹たちも感じ取るほどだった。

 お互いが、どんな顔をしていいのかわからないというのもあったが、お見合いも何も。いろいろと体験してしまっている。

 それなのに、お見合い……

『……どうすればいいの????……』

 ほぼ同時に、同じタイミングで思った2人だった。


 学園が休みということもあり、あやのとみやびは2人についていくわけにもいかないため、自分の用事を済ませることになっている。

 いずみは、お見合い当日になっても、あさひとの関係を十六夜には打ち明けれずにいた。そんなことをしようものなら……

『お見合じゃなく、結婚式になっちゃう……』

 十六夜が2人の進展に気が付けば、正式なお付き合いをすっ飛ばして、チャペルを借り切っての挙式に直行しそうな勢いになるのが目に見えていた。

『うちのお父さんは、何段階もすっ飛ばすからなぁ~』

 いずみにとって、嬉しいやら恥ずかしいやら、複雑な気持ちになる。


「ねぇ。あやの。そのヘアピン……」

「えっと、これは……」

 普段なら何でもない食事時の会話……

 そんな言葉でも、微妙に空気が悪くなる……

 よほど気に入ったのか、あれからあやのはヘアピンを毎日のようにつけていた。そのことをいずみが気づかないはずもなく、当然。質問することになる。

「そ、そう。あさひちゃんからもらったのよ。ね。あさひちゃん」

「えっ、は、はい。」

「ふ、ふ~ん」

 お見合い当日になって、この会話は冷や汗ものである。

『あやねぇ! どうして、してきたのよ!』

『ごめ~ん。思わず……』

 という、みやびとあやのの間で声にならない会話が続いていると……

「みやび。あさひちゃんとはどうだった? 楽しかった?」

「う、うん。そうだよ。楽しかった。」

 何の気ない会話ですら、ハラハラしてしまうあやのとみやび。そんな中、あさひは、ほっぺにご飯をつけてしまうのを見つけるみやび。

「あさひ。ついてる……」

「んっ、ありがと。」

 何気なくやったこのことが、いずみの動きを止める。

『ちょっと! 何してんの! みやび!』

『あっ! ごめん。つい……』

 いずみの表情に、みやびとあやのは膠着する……

「みやび……」

「な、なに?……」

 正直……ここまで緊張したときはないというほどに、ゴクリ! という音が聞こえるほどだった……

 そして、数分にも感じられる沈黙の後、いずみが口を開く……

「あさひちゃんと、仲良くなったのね。よかったわ……」

「はぁ~よかった。」

「う、うん。」

 いつもの白百合荘での朝食が、いつにもましてスリルのある朝食になったのだった……


 そして、お見合い会場へと出発する2人……一緒に向かう訳にはいかないため、一度分かれる2人。

「じゃ、じゃぁ。僕が先に行ってますね。」

「わ、わかったわ。あとから行くね。」

 お見合いということもあり、それなりの服を着たあさひ。そして、それを見送るいずみも複雑な思いを持っていた。

『あの子とお見合いするのよね……』

『あっ! 恥ずかしくなってきたっ!』

『誰も、見てないわよね?』

 改めてお見合いするとなると、どうしても頬が緩んでしまう……

 普段なら、大家として、生徒会長として、凛としていることの多いいずみ。しかし、いざ好意を寄せている人とお見合いとなると話は別である。

 自然に口角は上がり、目じりは下がり、顔が緩んでいく。

「へ、へへっ。あ、あたしもいかないと……」

 いずみはいつにもましてオシャレをして、白百合荘を出発する。

「いよいよかぁ~ふふ~ん」

 その姿は、今にでもスキップしそうなほどに声が上ずっていた。


 ホテルの一室を借り切って行われるお見合いは、両親も参加することになっているが、早めに来たいずみの両親はもうすでに盛り上がっているようだった。

 そして、そのすぐそばには、あさひの姿もあった。茫然自失な様子のあさひをいずみが呼ぶ。

「えっ? あさひちゃん?」

「あ、いずみさん……」

 いずみの到着を待ちわびていたかのように、いずみの両親は喜びの声をあげた。

「ようやくの到着だね。」

「主役は最後に到着かな。」

「これはもう、決まりですな。」

「もう決めてしまってもいいのでは?」

 と、一斉にいずみに向かって話しだす親たち……

「えっ。えっ! どういうこと?」

「いずみさん。実は……、もう決まっちゃったみたいです。僕たちの結婚……」

「えっ! けっ、結婚?!」

 本人たちのお見合いをすっ飛ばし、いずみの両親は、勝手に納得してし決めてしまっていた。

「ちょっと、待ってよ。どういうことなの?」

「どう言うことも何も、いずみ。もう、あさひちゃんに告白したんでしょ?」

「えっ! そ、それは……」

「それに、もう、キスまでしたって……」

「えっ! そ、そんなのだれか……あ!」

 いずみには、心当たりがあった。自分が告白したとき、あやのがよくサポートしていた事。

 そして、よくけしかけるようなことをしていたことも……

『あの子……』

 どうやら、あやのが両親に報告していたらしく、場所までは正確には伝わってはいなかった。

 しかし、告白したことや、思いを寄せているということが両親に知られていた……

「ちょっと、いずみ。こっち来て!」

「えっ、なに。お母さん……」

 あさひと十六夜をポツンと残して、流華がいずみを呼び出す……


「ちょっと、いずみ。あさひちゃんとどこまでいったの?」

「えっ! え~っと……」

「なに、まさか……」

 流華は一気に頬を染めて、あらぬ想像をしていた……

「い、いや。何を想像してるの?! もう!」

「き、キスよ……」

「なんだ、キス……キスぅ!」

 どんな想像をしたのか、流華の表情は、前にもまして顔が緩みだした……

『うちの子が、もうそんな、キスとか……』

 そんな流華は、あやのから聞いたもう一つの事を思いだした……

「あ! そういえば、いずみ。あんた、あさひさんの服の匂いをクンクンしてるんだって?」

「ぶっ! か、かぁさん! ど、どうして、それを?」

「そんなの、あやのに聞いたに決まってるでしょ!」

『あの子……』

 そんなことを考えているいずみを他所に、何やら悲しい表情をした流華は……

「あ、あなた。そんな欲求の発散方法を見つけるなんて……、へ、ヘンタイに目覚めたの?」

「ち、違うわよ! もう!」

「違うの?」

「変態とかそういうことじゃなく、純粋に……その、気になって……」

「気になって……ねぇ……。ふ~ん」

 一通り聞いた流華は、ひとこと。いずみに諭した……

「いずみ、それ。好きってことよ。もう、あなたの中では、あさひちゃんしか見えなくなってる……」

「そんなこと……なく、もないかも……」

 いずみは、あさひが来てからの事を思い出していた……


『今思えば、一目惚れだったのかな……』

 あさひが白百合荘に来た時、そのかわいさに女の子に見えてしまったいずみは、手違いということにして、学園の女の子の制服を着せていた……

『単純に、かわいかったという印象だったけど……』

 見回りをすることもあった、いずみ。あさひの部屋に立ち寄った時は、こっそり忍び込んだりもしていた……

 その幼くかわいい顔で女の子にしか見えないのに、男の子というギャップに心がどうにかなってしまいそうになっていたいずみ……

 そのことを思っただけでも、胸が締め付けられるいずみ……

 そんな姿を見ていた流華は、いずみに親としてのひとことを言う。


「いずみ、いい? そんなドキドキするときは、今だけよ」

「お見合いの体はこっちでやるけど、早いタイミングで、ふたりっきりにするから、はっきりその気持ちを伝えなさい! いい?」

「う、うん……」

 いずみは、そう流華に答えたものの、その実。自分の思いを伝えられるか心配だった……


 それから、遅めのお見合いが始まる。と言っても……

『これ、いずみさんをください! っていうノリだよね?』

 通常のお見合いといえば、両家の両親共に参加してのお見合い。しかし、あさひの両親は、遠方にいることから参加しなかった。というより……

『てか、あさひちゃんが選んだ人なら、いいよ。ってどういうことだよ!』

 数日前には、あさひのスマホに両親からそんなメールが送られてきていた。つまり、両親はあさひに丸投げしたのだった……

 つまり、お見合いの席上にはいずみの両親でもある、十六夜と流華。そしていずみ。そして、向かい合ってのあさひだった。

「あれ? あさひちゃんの両親は?」

「あの、それが……。海外にいるので、来れそうにないみたいです……」

「あら、そうなの?」

「そうなのかぁ……」

「その代わり、こんな言葉が送られてきてて……」

 あさひは素直に、メールに添付されていた両親のことばを読み上げた……。すると……

「ほう、そんなに息子の事を信用しているのか!!」

「寛大なご家族なのね……」

『いや、そういうものなのかなぁ~』

 そんなことを思いつつ、あさひの初めてのお見合いが始まる……


 お見合い。と言っても、何をするわけではない。意外とあっさりといずみとあさひがふたりっきりになった……

 そして、いざふたりっきりにされると、何を話していいのかわからなくなってしまうというのもある……

 そんな中、いずみは母親との会話を思いだしていた……

『ふたりっきりになったら、その気持ちを伝えなさい』

 そんな言葉がいずみの頭をよぎっていた……

『もう! どう話せばいいのよ……』

 そんなことを思っていると……

「いざ、お見合いとなると、緊張しますね……」

「えっ?」

「普段から、寮でも学園でも会うので、身内みたいな感じでした……」

「あぁ。確かに……」

 あさひの『身内』という言葉に、はっ!とするいずみ。確かに、いずみとあさひは、白百合荘では大家と住人。学園では、生徒会長と秘書というつながりがある。

 そのことから、いずみとあさひはいつも一緒にいるような感覚に陥る。

『そばにいるのが当たり前……』

 そう思ったいずみは、自分の思いを素直に打ち明ける決心がついた。


「あさひちゃん。私ね。あさひちゃんと結婚したい……」


 素直な思いをいずみは口にした……つもりだった……

『ん? 今、私……なんて……』

 好きという思いが募り過ぎたいずみは、付き合う云々すら通り越し、『結婚』の二文字が出てしまっていた……

「けっ、結婚?!」

「あ、あさひちゃん。こ、これはね、口が滑ってというか……」

 この時を待ってましたと言わんばかりに、ふたりの元に駆け寄ってくる、流華と十六夜。

「いずみ、そんな事を思っていたのね!」

「みずくさいじゃないか。すこしは、相談してくれても……」

 ノリノリの十六夜は、スマホを取り出しいそいそとどこかに連絡を始める。それと同時に流華は阿吽の呼吸のように、いずみとあさひの手を取ると、車に乗せ移動を始める。その車中……


「あの……どこへ行こうと……」

「それは、もう。決まってるじゃない。」

「あぁ、それと。あさひちゃん。着るならタキシードとドレス。どっちがいい?」

「それは、もうドレスで!」

「いずみ。あんたには聞いてないわよ。もう……」

「で、あさひちゃん。どっち?」

 あさひにとって、学園生活も私生活のどちらもが『女の子』として、生活していたこともあり、ドレスに関して抵抗がなくなっていた。それに……

「いずみさんは、ドレスが良いんですよね?」

「えっ! いいの?」

「えっと、僕も、いずみさんがいいのなら、それで……」

「あら、そう。」

 そして、ふたりが向かった先は……


「ここ。チャペルよね?」

「そうよ。それに、道中で書類にもハンコ押してあるし……」

「あっ! あれそうなの?」

「そういえば、何かしら親指で何かに押しましたよね?」

 いずみとあさひは、車の中で妙な切り抜きのされた紙に、ハンコの代わりに指で押していた。

「これね。これ……」

「あぁぁぁぁぁ!」

「えっと……」

 流華の取り出した書類には、しっかりといずみとあさひの名前のところに判が押されていた。

「えっと、これは……」

「あれっ? あさひちゃん、知らない? 『婚姻届け』」

「えっ! これが、そうなんですか?」

「そうよ。これが、それ。」

「ん? つまり……」

 婚姻届けその物を見るのも初めてだったあさひは、この書類に判をしたからと言って、どうなるかを理解していなかった。

 判を押すのなら、生徒会秘書として、それなりに判を押すことはあった。そのため、判を押す事自体に抵抗がなかった……

 それを知ってか知らでか、流華が用意した書類は、それなりに婚姻とは似ているようで似ていない文面の書類を切り抜き、婚姻届けにかぶせていずみとあさひに書かせるという、ある意味、詐欺的な行為をしていた……

 しかし、その行為があさひの気持ちを決める結果となった……

「これをね、提出すると。あなたたち。晴れて夫婦ね。」


『夫婦』


 いずみとあさひの間に、強烈な衝撃が走ったのは言うまでもなかった……

「ふ、夫婦……」

「夫婦って……いまいち、ピンとこないんですが……」

「夫婦生活って、そんなもんよ」

「いや、いかにも当たり前化のように言ってるの! もう!」

「ごめんね。あさひちゃん……」

「い、いえ……」

 強引に話が進む状況に、あさひはあっけにとられつつも、不思議と嫌な気持ちにはならなかった……

「あれっ、なんだろう。不思議な感じがします」

「えっ」

「いずみさんは大家さんで生徒会長。でも、おっちょこちょいなところもあって……」

「ちょっ!」

「で、でも。そんな、凛としたいずみさんが、その……好きって言ってくれて、うれしかった……」

「ま、まぁ~」

「『好きにならなくてもいいから……』って、告白でしたが……」

「えぇっ?」

「こ、こっち見ないで。かあさん。」

「でも、いずみさんを知っていくうちに、僕も好きになり始めていきました。なので……」


「僕と、結婚。してくれますか? いずみさん……」


 その瞬間。いずみとあさひの間の時間が止まったような感覚になるふたり……

 何とも言えない表情をしているいずみに、横から助け船が出る。

「ほら、何か言いなさいよ。いずみ」

 しばらくの沈黙の後、いずみはあさひの手を取り……

「よろしくお願いします……」

 こうして、改めて告白されたいずみは、晴れて両思いになった……

 そして……


「あの。どうして、ドレス?」

「えっ? ドレスのほうが良いんでしょ?」

「確かにそういいましたが……」


「ウェディングドレスとは聞いて無いんですけど!」


「とても似合ってるわよ。うん。私の娘の見る目は確かだったようね」

「いや、納得されても……」

 レースがふんだんに使われたドレス。身長もそこまで大きくないあさひは、裾を今にも引きずりそう、というより、引きずっていた。

『は、恥ずかしい……もっと、身長があれば……』

 そんなことを考えていると、扉を開けてドレスに着替えたいずみが入ってきた。その姿は、高身長で、凛としたドレス姿だった。

「い、いずみさん……」

「あっ! あさひ……ちゃん」

 あさひはいずみの様子に見惚れていた……。それは、いずみも同様だった……

「か、かわいい……」

「い、いずみさん。それ、男の僕に言われても……う、うれしいですが……」

「あぁん。すねないで……。かわいいんだから……」

 両親からも了承を得たことで、自分の理性が緩み始めているいずみ。自分の欲が駄々洩れになってしまっていた……


コツっ!


「あうっ!」

「ほら、いちゃつくのは、今でなくてもいいでしょうが。もう!」

 それから、花嫁がふたりいる不思議な挙式は無事につつがなくおこなわれ……

「あやのぉ~あんたね、よくもおかぁさんに色々と言ってくれたわね!」

「い、いずみねぇ~しょ、しょうがないでしょ! あさひさんの事を聞かれて仕方なく……」

「それでも、全部報告することは無いでしょ! もう!」

「あぁ~ごめ~ん。いずみねぇ~」

 結婚式後、着替え終わったいずみとあやのが言い合いになっているところをほほえましく見てるあさひ。そこへ、みやびがひょっこりと現れて……


「これで、家族だねっ。お・に・い・ちゃん」

「お兄ちゃんは、よしてくれ。同い年なんだから……」

「えぇ~。いずみねぇの旦那だから、おにいさんでいいじゃん。へへへっ。」

「まぁ。確かに……」

 そんな会話の最中も……

「そういえば、あんたは、デートの時にお揃いのヘアピン貰ったんでしょ?」

「はぁ? それくらい、いいじゃん! おねぇ。はこれからずっと一緒にいられるんだし!」

「それとこれとは別! うらやましい!」

「もう、おねぇ。うざい!」

「う、うざい! って何よ! もう!」

 仲がいいのか悪いのか、ヘアピンの事でもめていた……

「いずみねぇも、それくらいおおめにみたらいいのに……」

「いずみさんらしいというか、何というか……」

 あさひとみやびが仲良く話をしていると、それまであやのの相手をしていたいずみが駆け寄ってきて……

「みやび。あたしの……」

「ちょっ!」

「おっと!」

 みやびと話しをしていたあさひをひっぱり、ぎゅっと抱きしめて意思表示する。その姿は、中身は乙女なんだろう。と思ってしまうあさひだった。

 そんないずみの姿を見て、あさひにひとことつぶやく……

「結婚したのよね。」

「う、うん。」

「じゃぁさ……」

 あさひの耳元で……

「『いずみ』とは言わないの?」

「あっ。」

「もう! なに? ふたりでひそひそ話して……」

 含み笑いをしながら、みやびがひとこと……

「ほら、言ってあげたら?」

「う、うん。」

 それから、一呼吸置いたあさひは、抱き着いた状態のいずみに対して……


「いずみ」

「!!!!」


 これほど、体に電気が走ったような感覚に陥ったいずみ。嬉しさに体が震えていた……

 あまりに震えているので、心配になったあさひは……

「どうしたの? いずみ……」

「はうっ!」

「『いずみ』?」

「あうっ!」

「あなた、意外と、えげつないわね?」

「えっ? だって、呼べって……」

「そういったけどさ……あれ見てみ……」

「えっ? あっ。」

 座り込んだいずみは、両肩を抱きプルプルと震えていた……

「もう2~3回呼んだら、イッちゃうんじゃないかしら……」

「こうして震える姿のいずみねぇ。なんか、エロイわね……」

「あ、あはは……」

 会場は、何とも言えない幸せな空気が流れた……


 百合好きの主人公あさひと、いずみ・あやの・みやびの三姉妹の恋愛模様はこれにて、終幕。

 いずみとあさひの初夜の話は、また別の機会に……

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大家さんとの百合『的』日常 結城里音 -YUUKI RINON- @RinonsWorld

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