六日目 あの粉・この粉(アノコ・コノコ)

起きた。


朝食にパンが食べたかったので、近所のスーパーのパン屋に行って惣菜パンを買った。


最近はコロナの影響で全てのパンがビニールで個包装されており、以前のようにトングでパン掴み放題、買い放題といった体験も出来なくなってしまっている。


下手すりゃずっとこのままパンに包装がかけられ続け、生身のままパンが陳列される販売スタイルが消滅してしまうんじゃないかと思うくらい、「新しい生活様式」が僕らの日常に対して幅を利かせ始めている。


もしそうなれば、わざわざトングとトレーを使ってパンを選ぶ必要もないので「トングをカチカチして他の客を威嚇する」みたいなあるあるネタが通用しなくなる世代が誕生する可能性も....?


将来会社の飲み会で新入社員の子に「昔はなぁ〜こうやってパン屋でトングカチカチして、他の客威嚇してたんやで〜」とか言いながら、サラダ取り分ける用のトングをカチカチさせても、何も分かってくれないかもしれない。


というか、そんな上司ダルすぎるし、いきなりサラダ取り分けてくれるかと思えば訳分かんないこと言い出してトングカチカチしてノスタルジックに浸っている上司、普通にウザ過ぎるのだが....


買ったパンを帰り道で食べながら思った。


家に戻ると月曜日試験のあるTOEICの授業の勉強をした。


この授業落とすと卒業に関わって来るレベルの結構重要なテストなので、一応模試的な感じで一通り問題集を解いてみた。


5割7分くらいの得点だった。


単位くれるかどうか微妙なラインの得点だ....


先生が「厳しめの」人だったら、下手すれば落とされるかもしれないくらいの成績。


だけど冷静に考えれば、この時期までTOEIC残してるような奴らなんてたぶん真面目に試験前に模試なんてやらないだろうし、本番一発で試験して全然出来てなくて、結果として授業全体のなかで相対的見ると、僕の成績がそこそこ優秀なほうだったりするんじゃないだろうか。


そう考えると希望が無いわけではない、と言うより、もっとドッシリ構えててもいいんじゃないかと感じた。


半ば無理やり良いイメージだけ頭に植え付けて、寝た。

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