第26話 もうひとつの代償

逢音は自宅に戻り、早速4神を呼び出した。

ビビ「逢音!やばいぞ!」

テテ「エマ、やばい」

ガガ「……」

ネネ「お土産なんだった?」

逢音「なに?エマはなんていったの?」

ガガ「 You are Thief ! この泥棒め!ってこと」

逢音「ええええええ!」

ビビ「やっぱりわかってなかった…」

テテ「つまり、能力のことをエマは知ってる。そして瞳美の視覚の能力が今逢音にあることも…」

逢音「そんな…どうして?エマとはロンドンでも会わなかったんだよ!」

ビビ「おい、ガガ!お前エマのこと知ってるのか?」

ガガ「エマは中学時代、ほぼ瞳美と一緒に過ごしていた。瞳美はエマから英語を習い、エマは瞳美から日本語を習っていた。そういう仲だった」

テテ「能力のことを瞳美はエマに話したのか?」

ガガ「いや、そういう場面に出くわしたことはない」

ビビ「なんで従妹がクリソツなんだ!?しかも誕生日も同じだって…」

ガガ「わからない」

ネネ「ガガを責めちゃかわいそうだよ。知ってるならもっと前から逢音に言ってるはずだよ」

逢音「泥棒…そうかそう思われてるのか…経緯はどうであれエマは私から能力を奪うために日本に来た…」

ビビ「アンティークショップのジジイが言ってたもう一人の資格者って…」

逢音「そう。おそらくエマ」

ガガ「だったら、店主がエマにスプーンを渡す前になんとかしないと…」

逢音「……もう遅いかもしれない」

逢音はスマホを取り出し曽宮の家に電話をした。

<逢音>「あの篠崎です。先ほどはお世話になりました」

<瞳美の母親>「あら逢音ちゃん。こちらこそ。なにか忘れ物?」

<逢音>「あのう…エマさんは御在宅でしょうか?」

<瞳美の母親>「あ、エマちゃんね。なんかこっちに知り合いがいるとかで、さっき電話して出かけて行ったみたいだけど…」

(やはり…)

電話を切った逢音はすぐに出かけようとして思いとどまった…

(エマがスプーンを手に入れたことを知らないふりをしたほうがよいのかも…もう相手が味覚の神の能力者であることを前提に対策を考えよう。エマは全てを店主から聞くだろう。その上でどう出てくるか…)

ビビ「逢音。行かないのか?」

逢音「もう遅いと思う。もし間に合ったとしても、彼女はいずれスプーンを手にする。そして私は彼女からしかスプーンを奪うことはできない」

ビビ・ネネ・テテ「……」

ガガ「あの言い方からして、エマは躊躇なく逢音を殺しにくるよ」

逢音「瞳美の意思を引き継いだのは私…私が五感の神全てを手に入れて葬らなければ…それが瞳美からの代償」

ガガ「ひとつだけ気になることがある」

逢音・ビビ・ネネ・テテ「なに!?」

ガガ「確か一度だけ、瞳美はエマに能力を使ったんだよ。」

逢音「何を命じたの?まさか…」

ガガ「いや、たわいのないことだったと思う。だけど…」

逢音・ビビ・ネネ・テテ「だけど?」

ガガ「瞳美はその代償をエマから受けたはずなんだ」

逢音「どんな代償だったの?」

ガガ「それが…エマは瞳美の耳もとで小声でささやいたので私には聞こえてこなかった」

ビビ「じゃあなんで代償だってわかるんだ?」

ガガ「瞳美が黙ってうなずいたから…」

全員が黙った。


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