第24話 瞳美ふたたび

初七日は、通常命日を含めて7日後に行われる。本来は大晦日に行われるべきであった。

曽宮家では、1月2日に親族のみで執り行うことに決めていた。

逢音は瞳美の親に電話をし、列席を許してほしいと伝えた。

瞳美の死を目撃した一人でもある逢音の出席は、曽宮の両親にとってもありがたいことであり快く了解された。

逢音は瞳美の家庭事情をよく知らなかった。

(なぜ、中学までイギリスにいたのか?)

(家族と一緒ではなかったのか?)

(英語ができるのは当然として中学までイギリスにいたとすれば日本語が堪能なのはなぜか?)

逢音は求める真実がそこにあるような気がしていた。」

1月2日の午後、逢音は1万円を入れた御霊前袋と4種の神の道具が入ったカバンを持って曽宮家を訪ねた。

逢音は好意を持って迎えられた。

霊前には、瞳美の遺影と白い布で包まれた骨壺があった。

瞳美の遺影は笑っていた。しかし逢音には瞳美の目が語りかけているように思えた。

(私との約束…忘れないで)

列席者は瞳美の両親を含めて6人いた。

全員に逢音が紹介された。4人の親族はいずれも瞳美の両親の兄弟であった。

直に、住職が現れ、読経が始まった。

(イギリス人の血をひいてるのに仏教なのかあ…)

読経と焼香が終わり、会食となった。

住職も含めて7人の会食が始まったが、用意されている食事は8つだった。

(こういう時って瞳美の陰膳を用意するのか…)

葬祭になれない逢音は特に気にしなかった。

逢音の隣は瞳美の母親だった。話し相手のいない逢音に配慮された席順だった。

おそるおそる逢音は母親に聞いた。

逢音「あのう、瞳美さんって中学校までロンドンにいたんですよね?」

母親「そうですよ。事情があって瞳美は中学をロンドンで過ごしたんです」

逢音「中学だけ…ですか?」

母親「英語の語学力をつけたいってことで…父方の親戚があちらの…そのイギリス人なので、そっちにお世話になったのよ。それまでは、主人の仕事の関係で家族ごと日本とイギリスを2~3毎に行ったり来たりしてて、やっと日本に落ち着くことになったんですけどね」

逢音「瞳美さんは中学生の期間だけ、一人でイギリスにいらっしゃったんですね」

母親「一人といっても、親戚がいるし、仲の良い従妹もいるし…あ、そうそう、もうすぐ来るころだわ…(父親に向かって)ねえ、あなた!エマさんまだ来ないんだけど」

父親「12:00には成田に着いてるはずだから、もうすぐ着くよ」

逢音「あ、あのエマさんって…?」

母親「瞳美の従妹にあたる人よ。逢音さん見たらびっくりするかも…」

父親「しばらくこっちにいるんだ…荷物も多いからタクシーで来ると思うんだけど…」

その時玄関のチャイムが鳴った。

母親「あ、着いたみたい」

出迎える母親。

間もなく座敷のふすまが開いた。

そこには…そこには死んだはずの瞳美がいた。

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