第14話 触覚の神
間違いなかった。なによりこの怪しいアンティークショップで購入したモノだ。
逢音「ごめん、当てるつもりなかったんだ。ほんとごめん!鼻血大丈夫?」
園子「悪意がないのはわかるよ。大丈夫だ。顔にアザとかできてない?」
逢音「うん。もろに鼻にいっちゃったからね。顔は大丈夫だよ」
園子「ジョージに見せられない顔になるところだったぜ」
園子は微笑んだ。
(あ!まだ代償が!)
逢音「もうその手袋つけないで!」
園子「わかった」
代償クリア!
逢音「100均ショップ寄るのよそうよ。鼻血止めないと…いったん家に帰ったら?」
園子「うん。そうするよ。じゃーな」
逢音「ごめんねー」
園子「はっはっは、気にすんな」
(いい子だ。本当に友達としてこれ以上の存在はない)
逢音はそんな親友が五感の神にとりつかれたことが悔しくてならなかった。
でも園子はあの手袋を再び身に着けることはない。代償としてそういう命令を受けたから…
(はっ!あれをジョージにプレゼントしたらジョージが所有者となってしまうのか?)
逢音はベルを取り出した。
「Hearing BiBi」
ビビ「わたしばかり呼び出して…もうおまえは三神の主なんだぞ」
逢音「ねえ、園子が能力を自覚しないままプレゼントしても所有権は移るの?」
ビビ「そうだよ。能力の自覚の有無は関係ない」
逢音「どうしよう…ジョージに渡ったらもっと面倒なことに…」
ビビ「お前がもらうのが一番だな」
逢音「でも…今更…」
ビビ「もっといい手袋探して、こっちのほうが良くないか?って言って交換してもらえよ」
逢音「あ!その手があったか」
ビビ「手じゃない。手袋だ」
逢音「いちいちうるさいな。でもサンキュ。そうするよ」
逢音は先日父親からもらった3万円が手つかずであることを思い出した。
急いで家に帰り、お金を持った逢音は、大晦日のショッピング街へ向かった。
その頃、園子は自宅で手袋のラッピングに格闘していた。
逢音と別れた後、内緒で100均ショップで箱と包装紙とリボンのテープを購入していた。
園子が手袋を箱にしまおうとしていた時、ふと手首の部分についているバンドの古めかしい金属の装飾物が目に入った。
園子「これがいかにもアンティークっぽくって…あれ?なんか書いてあるな」
装飾物に刻まれた英語を園子は読んだ。
「Sense of touch TeTe …?」
手袋の甲の部分にニコチャンマークの顔が現れた。
園子「ぎゃあああああー」
テテ「そんなにびっくりしなくても….」
園子「しゃ、しゃべった…手袋がしゃべった…」
テテ「わたしの名前はテテだよ。おやおや、こいつの使い方を知らないご主人様のようだ」
園子「だ、誰なのあなた」
テテ「触覚の神テテだ。いいことを教えてあげよう」
テテはゆっくりとした口調で自分の持つ能力について語り始めた。
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