第9話 告白(その2)

一方、エミリーは地獄の毎日を送っていた。かつての恋人に財産も家庭も奪われ、今は使用人として働かされている。彼女のロバートへの思いは疑惑と憎悪に満ち溢れていた。

そんなある日、日本人と思しき古物商が彼女の前に現れた。

薄紫色のビンに入った香水を買わないかという。とても魅力的な香水であったが提示された金額は使用人の給料では手が届かないものだった。

古物商「では、ひとつだけ望みを聞いてあげましょう」

エミリー「この屋敷の主人がなぜ私にこういう仕打ちをしたのか知りたい」

古物商「わかりました。おやすい御用です。」

ちょうどそのときロバートが現れた。

ロバート「おや、お客さんかい?」

エミリー「はい。私の古い友達が訪ねてきてくださって」

ロバート「話したいことがあるんだが….」

エミリー「ではお客さんには別室で待ってもらっていてもよろしいでしょうか」

ロバート「いや、大事な話だ。いったんお引き取り願って…」

その瞬間、かすかな香水の匂いがした。

古物商「なぜ、お前はこのご婦人に向かってこのような仕打ちをしてきたのか、全てを話しなさい」

ロバートが語りだしたことは、エミリーに驚愕と更なる憎悪を与えるに十分な内容だった。

話終え、我に返ったロバートはエミリーに、「僕は君のことをまだ…」

エミリー「この男を殺して!」

代償クリア!

古物商は持っていたナイフで祖父の心臓を抉った。

息絶えたロバートの姿を確認し、あわてて去っていく古物商をエミリーは放心状態で見送っていた。

この事件は押し入り強盗事件として扱われた。犯人はまだ見つかっていない。

エミリー「私は復讐を果たした。でも失ったものは戻らない。私の幸せ、未来をすべて奪っていったロバート。死んで当然よね。でも私はもっと幸せになってもいいんじゃない?

瞳美さん、あなたはロバートから全てを受け継いだ。でもねここにいるダンにも受け継ぐ資格があるの。だってダンは私とロバートとの….」

エミリーは続けた。

「私とダンは何年もかけてあの不思議な香水のビンを探し回っていた。やっと手に入れた。

私たちはこれを使って、失った幸せを取り戻すの!」

告白は終わった。

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