第6話 イギリス(その1)

逢音はスマホで瞳美を呼び出した。

逢音の口調からただごとではないことを察した瞳美は友達とのクリスマスパーティーをぶっちぎって逢音の家に向かった。

逢音の自宅を訪れ、部屋に通された瞳美。

瞳美「なにがあった?」

これまでの経緯を話す逢音。

逢音「これ、もう一度お父さんにベルの能力をかけてイギリス行きをやめさせることできるのかな?」

瞳美「この能力ってさ、契約なんだよ。逢音が代償を払った時点で、最初のお父さんへの命令は確定した。お父さんは履行義務を果たさねばならない」

逢音「瞳美がメガネ使ってもだめ?」

瞳美「やったことないからわからないけれど、無理だと思う。Vision GaGa!」

ガガ「無理」

瞳美「だってさ…」

逢音「いきなりイギリスだよー」

瞳美「イギリスのどこ?」

逢音「あ、住所まではきいていない。そういえば瞳美は中学までイギリスいたんだっけ?」

瞳美「あ、うん。まあ、その話はまた今度。私が能力つかってお父さんに聞いてみようか?」

逢音「いいの?」

瞳美「代償の時フォローお願い」

逢音「わかった。信頼して!」

逢音と瞳美はリビングに行って逢音の父親と対峙した。

瞳美が黒メガネをかけて父親に問う。

瞳美「香水のビンはイギリスのどこにあるのですか?」

父親は詳しい住所を話した。それを聞いた瞳美は驚愕の表情をみせた。

瞳美「ま、まさか…そんな…」

逢音「瞳美。部屋に戻って。」

代償クリア!

部屋に戻った逢音と晴美。

晴美は黙って困惑した表情。

逢音「どうしたの?」

瞳美「ちょっと…いや、かなりびっくりした」

逢音「?」

瞳美「同じなんだよ。住所が…おじいさんの住んでいた家と」

逢音「えええええー。その家って今どーなってるの?」

瞳美「確か。人に貸しているって聞いた…」

逢音「その人が香水のビン買っていっちゃったのか…」

瞳美「なんかさ…なんかおかしくない?これ偶然なの?」

逢音「だってさ、香水のビンは私がずっと欲しくて….」

瞳美「それがこのタイミングで売られた。しかも私のおじいちゃんの家に住んでいる人に…」

考え込む瞳美…そして決心したかのように逢音に言った。

瞳美「行こう。私たちもイギリスへ!」

逢音「え!ええええええー」

瞳美「次の能力者への手がかりが見つかるかもしれない。いや、次の能力者に会えるかもしれない」

逢音「だ、だって出発は明日だよ!」

瞳美「私たちのチカラをつかえば問題ない。逢音パスポート持ってる?」

逢音「あ、うん。去年香港に行ったし…」

瞳美「じゃあノープロブレムだ。急いで支度しよう。いいか?今からあなたの両親に能力つかう。代償フォローお願い。そのあと私の家に来て、同じように親に能力使うから!」

逢音「うわああああー大変なことになったああああー」

逢音は、不安よりもこれから起こるであろう様々な出来事を想像し、ワクワクしている自分を感じていた。

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