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「ねっ、リハビリとして付き合ってみない? 後悔はさせないと思うよ」


床に手までついているアタシに、彼はにこやかに言ってきた。


「どこがリハビリよ。荒治療になりそうなんですけど?」


「かもねー。だって愛実の反応、おもしろいし?」


すでに名前を呼び捨てしている…。


アタシは考えた。


コイツは断ったとしても、何の痛手も受けない。


飽きるまで構ってくるだろう。


飽きるまで…それまでの辛抱だと思えば良いのかもしれない。


彼はアタシが恋愛恐怖症だと分かっているし、付き合い方も考えてくれるかもしれない。


「…じゃあ、いきなり触れてくるのは無しなら、良いわよ」


アタシは観念した。


「分かった。じゃあ前触れありなら良いんだ」


「えっ、いや、それも…」


「じゃあ、早速。キスして良い?」


そう言いながらすでに彼の手はアタシの顔を包んでいて、唇も息がかかるぐらい近い!


「ひぃっ!」


一瞬にして目の前が真っ暗になるも、頭を揺す振られ、現実に戻る。


「ちょっ、近いっ! 血の気が引くって!」


「鳥肌まで立つんだ。ちょっと傷付くなぁ」


「じゃあ離してよ! 寒気が止まらないんだから」


かっ体まで震えてきた!


「ん~。じゃあ…」


 ちゅっ


「…えっ?」


「コレで解放するよ」


そう言ってアタシから離れて、立ち上がった。


今…キスされた?


許可していないのにぃ!


「なっ何でキスしたのよ? 良いって言ってないわよ!」


「でもダメだとも言わなかったじゃん」


「返答が無いことを肯定と受け取らないでよ!」


「分かった。次からはそうする」


と輝く笑顔で言われても、胡散臭さが隠せていない!


「じゃあこれからよろしくね。あっ、メルアド変わっていない?」


「変わっていないわよ!」


怒りながら立ち上がると、彼はほっとした様子を見せた。


「良かった。あっ、オレのも変わっていないから」


「はいはい」



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