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…そう淡々と言われてもなぁ。
「でっでもその感情が、本当に恋愛感情かは分からないじゃない」
彼の説明では、まるで観察動物を他に取られるのがイヤだと聞こえる。
独占したい気持ちが恋愛感情じゃないとは言えないけれど、…何か違う気がする。
「うん。分からないね」
…肯定しやがったよ、コイツ。
何だろう?
からかわれている? バカにされている?
急に気持ちまで冷めてきた。
「でもだからこそ、近くに置いておきたいんだ。恋愛感情かどうか、確かめる為に」
いや、実験動物扱いだ!
「お断り」
だからすぐに断る。
「何で?」
「何でって…」
彼には言っていなかったけど、アタシの嫌悪感は本物にしか反応しない。
だから彼が本気かどうか、アタシが分かってしまっている。
それを告げたら彼は自覚してしまうから、絶対に言えない!
「う~ん」
彼はしばらく考えた後、壁から背を離した。
何だろうと見ていると、いきなり抱きつかれた!
「ぎっぎゃあああ!」
背筋にぞわぞわ~と鳥肌が立つ。
血の気が引くっ!
そして…彼の匂いに目眩がする。
それにちょうどアタシの目線が彼の首筋に当たるから…その色気に本気で意識が飛びそうになる。
やっヤバイ!
フェロモンにやられる!
身の危険が頂点に達したアタシは、思わず拳を握り締め、彼に向かって放ってしまった!
バシッ!
けれど顔の間近で、彼に止められてしまった。
「あっぶないなぁ。良い拳しているよ」
「せっセクハラまがいのことをするからでしょう!」
「確かめただけだよ。キミの反応を見て、オレが本気かどうか」
うげっ! のっ能力まで見抜かれた?
「うん。でもそういう反応が返ってくるんだから、本気なんだな。自覚はあんまり無かったけど」
うんうんと納得している彼。
足から力抜け、アタシは床に膝をついてしまった。
ヤッパ、ただ者ではなかったか…。
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