すぐに後悔するものの、次の彼の言葉はこうだった。


「好きなところはオレを特別視しないことと、特別扱いを全くしないとこ。知っていることはキミが恋愛恐怖症なことかな?」


…だった。


って、えっ?


今、彼の口からは『恋愛恐怖症』という言葉が出てきた。


さあー…っと音を立てて、血が下がっていく。


いっ何時バレた?


今まで何よりも神経をすり減らし、バレないように細心の注意をしてきたのに。


「どっどうしてそのことを?」


尋ねたのは、否定するより聞きたいことだったからだ。


「見てれば分かるよ。友好的に見えて、実は男にだけ一線を引いている」


「そっそれはアタシだけじゃないでしょう?」


「それに男に告白され、断る時、いっつも同じことをする」


げっ!


どっかで見られてた?


告白される場所は学校が多かったから、誰かに見られていても不思議じゃなかったけど…。


彼は笑顔で壁に寄りかかった。


「最初はさ、違和感からキミのことが気になった」


「違和感?」


「そっ。オレが女の子に話しかけたり、触れたりすると喜ぶのに、キミはそうじゃなかったから」


…前言撤回。


コイツの方が自意識過剰だった。


「で、何でだろうって思って見てたんだ。オレの他に好きなヤツでもいるのかなぁと思ったりしたけど、そういうふうには見えなかったし」


ぐさっ★


こっ言葉の矢が、胸に突き刺さった!


「それで観察しているうちに、何人かの男子生徒に告白されてる現場を見たんだ。そしたらあの反応。告白されていることに慣れているカンジだったけど、それを喜んでいるようには全く見えなかったんだよね」


彼は鋭い眼をして、当時のことを思い出しているようだった。


うっ…。さすがは学年一位の頭脳を持つ男だ。


「その後、必ず倉庫裏に避難もしてたし」


げっ! そこまでバレてたのか!


「だから恋愛恐怖症なんじゃないかなって思ったんだ」


「分かってて告白してきたの? 意地が悪いわね」


「自覚はあるよ。でも言わずにはいられなかった。いつ他のヤツに取られるか、気が気じゃなかったし」



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