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腰を曲げ、思いっきり頭を下げる。
そして相手の目を見て、そらす。
「ホントにゴメンなさい!」
そして振り返り、全力ダッシュ。
とっ鳥肌がっ! いや、それより貧血が起こりつつある!
どこか一人になれる所に行かないと…。
よろよろしながらたどり着いたのは、校舎裏の倉庫の裏。
辺りには植物がたくさんあるから、身を隠すにはもってこいだった。
「う~…。午後の授業はダメかも」
今が乾燥している時期で良かった。
草っぱらに寝っころがり、ダウン…。
体は冷たいけれど、降り注ぐ太陽の光や風は温かい。
草木の匂いも、心を落ち着かせる。
「はぁ…。神沼め、何を考えているんだか…」
彼との接点は昨年、同じ委員会だったということだけ。
同じ図書委員で、話をしたことはあった。
アタシは人見知りはしないタイプだから、彼がどんなカリスマ性を持っていても、平気で話しかけていた。
周囲の学生達は彼の前では萎縮か緊張してしまい、うまく話せていないことは見ていて気付いた。
だからパイプ役になっていたとも言えるけど…誤解、させちゃったかな?
「う~ん。でもそういうタイプには見えなかったけどなぁ」
自分に良く話しかけてくるから、という理由で好意を簡単に持つタイプには思えなかった。
まあ彼に話しかける女子生徒は数多いし。
委員会が終わった後、特に話した記憶はない。
どこかですれ違えば挨拶をするぐらい。
メールも電話も…あっ、電話は委員会の用事で何回かはあった。
でもそれも数える程度。
なのに…何故?
学校一のイケメンに告白されて、嬉しいというより疑問に感じるんだから、やっぱり普通の女子高校生じゃないな。
彼は成績がとても優秀で、カリスマ性がとても高い。
だから彼を信奉している人は、学生だけではなく、先生達の中にもいる。
もちろん、街の中にも…と思ったところで、別の意味での寒気が!
でも…もうフッっちゃったしな。
明日からまたちょっと居辛くなるかもしれないけれど、ガマンだガマン。
しばらくガマンすれば、また元に戻る。
いつものように。
…と思っていたのに!
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