第75話 初心者歓迎です
「今日は! 私達チョー初心者なのですけど、このチームに参加しても良いのでしょうか?」
サキが元気に、古ぼけた闘技場で練習用の怪物NPCに、剣を向けている一群のリーダーらしき人物に声をかけた。
「やあ、いらっしゃい。モチのロンだよ! チョー初心者を育てて、強力なチームメンバーを作るのが、僕の楽しみなんだ。よろしくね、僕は剣士サミュエルソン。サムと呼んでくれれば良いよ」
リーダらしき人は剣を腰に戻して、笑顔をふりまきながら、両手を大きく広げて、こちらに近づいて来る。いかにも人にものを教えるのが生きがいなんだオーラが体中から出ている。
「そして、あちらで回復魔法を指導しているのが、魔導士マリアンヌ。メアリーで良いと思うよ。ところで君達の名前は?」
闘技場の向こう側で別の指導をしている女性を示してから、リーダはジジとサキの方を向いてニコリとする。
「ハイ、私は剣士サキと言います」
「僕は、剣士ジジです」
「おお、サキさんとジジ君ね。よろしくね。ちょっと待ってね、今メアリーを紹介するから」
リーダは、指導中の女性を呼びに行った。
「良かったわね、なんか感じ良さそうな人ね」
「そうだね、優しそうかな。目が笑ってた」
「ジジさんんて、変な所見てるのね?」
「うん、僕って人と見る場所が違うんだ」
「でも、女性を見る場合は、他の男性と同じ部分でしょ? 男性はみんなそうよね」
「サキさんーっ! それは男性の宿命だよ」
サムは、メアリーを連れて戻って来た。
――
サキさんが見てるので、僕はメアリーさんの胸やお尻を見ないように努力した。でもでも、つい目が行っちゃうぐらいのど迫力だった。
サキさんも、同じ女性なのに、メアリーさんの胸の迫力に圧倒されていたようだ。
何回も自分の胸と比較してた。
――
「今日は! 初心者の方ですか? どちらも剣士希望なのですね? 魔法も一緒にどうですか?」
メアリーは思いっきり顔を近づけてジジとサキに迫る。メアリーのド迫力な胸も彼らに肉薄する。ちょっと手を伸ばせば掴めそうなぐらいだ。
「ハイ! 魔法も一緒に頂きます」
メアリーの勢いで、ジジはつい返事をしてしまった。サキの冷たい視線が背中に刺さる。
「それでは、簡単な魔法の講義を行いますね。殿方はどうぞこちらへ」
メアリーは、薄めの練習着一枚の体でジジを押すようにして、魔法を習っているチームの場所へジジを連れて行く。メアリーの豊かな胸がジジの背中に食い込んでくる。
――
うわぁー、僕の背中に、はちきれんばかりの胸が当たっている感覚が感じられるんだ。しかも、もしかしてメアリーさんて、ノーブラ状態なんじゃないか? だって胸のポッチ部分もハッキリと感じるんですけど。
ここって、確か仮想空間だよなあー。皮膚の接触感覚ってここまで細かく表現出来るんだ。さすが、量子コンピュータの演算能力だ。
それに、遠くからサキさんの冷たい視線も首筋に感じられる。さすが、量子コンピュータの演算能力だ? いやこれって、僕の錯覚かな? 錯覚だよね、きっとそうだ。
そう思って、振り返ってみると、そこにはジジを睨みつけるサキさんの冷たい視線があった。
サキさんは、サムさんに手を引かれて剣士の講義を行なっている場所に連れて行かれていく。
ヤバイなあ、サキさんを怒らせちゃった。これは、今晩荒れるだろうなあ。
まあ、少しでも魔法が使えた方が、サキさんを守れるし回復出来るしね。ほら、僕って先兵というよりサポーターに向いてるからさ。そう言って一生懸命自己弁解しちゃうジローだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます