第18話 メンテナンス
夕飯を食べ終わって、少し仮眠をとったつもりだったんだけど、思いっきり爆睡しちゃって目が覚めたら、予定の時間30分前だった。やばい、ばやい、さっと着替えてログインしちゃえ。こんな時は自宅勤務って便利だよね。通勤時間を気にしなくても良いんだもの。
やっぱりおいしいご飯をたらふく食べると、心も体も満たされて熟睡できるんだね。睡眠不足の人には申し訳ないけど、僕の取柄って、何処でも、いつでも、誰とでも(?)寝られることだもん。やっぱりお布団は最高な友達さ!
どんなにやな事があっても、おいしいご飯をたくさん食べて、一晩ぐっすり寝れば回復しちゃうもんね。ごはんと一緒にイヤな事も消化しちゃう感じかな。
……って言っている場合じゃない。早くいつものキャラになって、システム管理担当者からログイン中のプレイヤー名簿をもらわないと。
さてと端末を出してと。ぴっぽっぱっ「こちらは運用管理担当者ZAAF1392です。本日のメンテナンス前にログイン中プレイヤーがいれば退去依頼を出すので、プレイヤーの居場所を送ってください。どうぞっ!」
「了解しました、ZAAF1392。確認のため端末認証画面からパスワードを入力して網膜認証もお願いします。どうぞ!」
「了解しました」さてと端末からパスワードを入力して『ほうれんそうはおいしいぞ、でもぴーまんはにがてかな』それから、網膜認証のために端末のカメラに向かってにらめっこ。
なんか、近未来小説では生体認証しか無いパターンが多いけど、この時代になってもパスワードって生き残っているんだよね。怖い話だけど、生体認証は担当者が死んでしまっても、目玉とか手首とかを持ってさえいれば、認証をすり抜けられるんだよね。
だから、コストパフォーマンス的にもセキュリティー強度が高い『パスワード』っていまだに有益な方法なんだよね。ただし、パスワードというよりも、入力文字数が長い『パスフレーズ』になっている場合が多いけどね。
昔の銀行では4ケタの数字でパスワードを設定していたらしいけど、そんなの簡単に破られちゃうじゃん、とか思ってしまうよね。どうしてそんな簡単な番号でセキュリティ完璧とか思ってたんだろうねえ昔の人は。
まあ昔の人はその4ケタの番号を忘れないように紙に書いて持ち歩いてたそうだから、本末転倒だよね。
今のパスワードは、ひらがなで最小でも20文字以上必要なんだよ。そこまでの長さになると、偶然でもパスワードは破られないね。でも、おかげで覚えやすい呪文みたいな文字列をみんな使ってるよね。
さて、認証を終えて送ってもらったプレイヤー名簿を持って、今から大急ぎで残っている人たちをこの世界から追い出さないとね。お仕事! お仕事!
* * *
「はー、疲れた」
結構たくさんのプレイヤーさん、隠れてたよね。あんなに以前から『メンテナンスするからログアウトしてね』って通知してるのに、ゲームサイズとしては小さなこの『銃の世界』にも、合計で20人も隠れてたんだよ。
みんな、いかに『システム管理者からの連絡メールを見ていない』って事だよね。
でも、とりあえず全員ログアウトさせたから、今回は無事にメンテナンスを乗り切れそうだな。
僕のジンクスもあてにならないで良かったよ。
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