第5話 定食屋のおっちゃん
定食屋のおっちゃんて、元々は外資系コンピュータメーカで働いていたらしいんだよね。
その外資系コンピュータメーカーって、今じゃあGamazonを筆頭にしたアメリカの超優良IT企業に後れを取っているけど、ひと昔前はコンピュータと言えばあのアメリカ企業というくらい凄い会社なんだよね。
だって大陸間弾道弾(ICBM)を持っていると言われていたからね。(この話はおじいちゃんに聞いたんだけど、もしかしたら今の人にはわからないかもね)
それに、あの有名な映画「2001年宇宙の旅」に出て来る、宇宙船をコントロールしているコンピュータ、HAL9000のH.A.L.のアナグラム(意味が分からない人はググッてね)にも使われているのは超有名な話なんだよ。
まあ、そこのエンジニアでバリバリお仕事してたらしいんだ。でも、会社の方針が製品開発からサービス主体にシフトした関係で、自分の部門が別会社になっちゃったらしい。そこで、一発奮起して出来たばかりのGamazon日本部門に面接に行ったんだそうだ。もともとエンジニアとしての腕は超一流だから、あとは面接でうまく行けば採用のところまで進んだんだそうだ。
物の本によると、Gamazonの面接はユニークで面接者に無理難題を押し付けてその時の論理的な思考を見るらしいんだ。例えば南極の氷を東京湾に浮かべるためには、どんな作業が必要でどのようにすれば実現可能かみたいな質問を出すらしいんだよね。
定食屋のおっちゃんの面接の時は、富士山を運んで東京の面接会場に持ってくるにはどうすればいいかな? みたいな事を聞かれたそうなんだってさ。
だけど、そこでおっちゃんは、「ばかやろう! 富士山は静岡にあるから富士山なんだろう(山梨県の人ごめんなさい。気を悪くしないでね。これはおっちゃんの主観だから)、そんなもの持ってきちゃだめだぞー!」とまくし立てたんだって。
その結果、『あいつは面白いから採用しようか』みたいな話も合ったらしいけど、結局はだめだったらしい。
でも、元々退職したらイタリアンレストランを始めるつもりで長期休暇の度にイタリア旅行で腕を鍛えてたらしくて、その勢いで定食屋を始めたって流れらしい。
確かに、定食屋なのに、ランチの無料飲み物には、コーヒーとワインがあるのが前から不思議だったんだよね。それで、暇なときにおっちゃんに話を聞いたらそんな事をぽつりぽつりを話してくれたんだ。
だから、定食屋のレジは今でもそこの会社のレジ使ってるよ。なんかデザイン的には僕は好きじゃないけどね。だってパソコンに毛が生えたようなデザインなんだもん。あ、アメリカのシアトル発祥の有名なコーヒー店でも同じレジを使ってるから、今度見てごらん。
でもね、ごはんとおかずはおいしいよ! それは保証する。味にうるさい僕のオススメな店だよ。
さて、今日のランチは何にしようかな? やっぱり、スパゲッティボンゴレのみそ炒めかな、あとはごはんの大盛で。おっちゃん急いでね! お腹と背中の皮がくっついちゃうよー。
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