第2話 ここは天国か地獄か?
あれれ、天国ってこんな所なのかな? ジローは、ふと我に帰って周りを見渡す。
現世からいきなり環境が変わると、人間パニックになるらしいから、それを配慮して死んでしまう前の環境と同じになっているのかな? ボケた事を考えながら、目をこする。
着古した背広とすり切れたネクタイは、意識を失う前と変わってないようだ。
意識が次第に戻ってきて、頭の回転スピードが正常に戻って来た。
そうか、結局死ななかったというか、死ねなかったのね。
そりゃそうだ、たかが数日間食事が取れなかったって人間死なないもんなあ。水分を取らないと3日で死んじゃうけど、食事をとらなくても1週間は全然大丈夫らしいし。なんかそんな記事をどこかで読んだ気がするもん。
「うん、うん、よかった天国に行かずにすんだよ。まあ、天国だったら行ってもよかったかもだけどね。地獄は絶対行きたくないしね」
寝ぼけた状態で、独り言を言い始めながらも、目はギョロギョロと部屋の中で食べるモノを探し続ける。
そもそも地獄にはネットもゲームも無いし、そんな所で日がな一日過ごすのは無理だよなあ。でも、最近は質の悪い三流ゲームを永遠にさせられるゲーム地獄とかもあるのかなあ。
閻魔大王もSNSやってて、地獄版検索システム『ジーゴク』とかもあるのかなあ。そうなると、当然メンテナンスは赤鬼か青鬼とかだよね。鬼達が金棒の代わりにキーボード叩いてたりして(笑)。でも彼らが細かいシステム回りを触れるとは思えないから、もしかしたら地獄に落ちても雇ってもらえたりしてね。
うー、ぶるぶる。でもさ、それって本当の意味でのブラック会社ってやつじゃないのかな。
バグを出したら鬼の金棒で百叩き。そのうえ100日の間眠らずに100万行のプログラムコーディングのデバッグ攻めとか。うーん、やっぱり地獄はやだなあー。地獄に行かなくてよかった。本当によかったよ。
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