第二十五話
大切な人と一緒にいる事がこんなにも楽しくて嬉しいということを初めて知った。貴方に抱き締められていると、何故だか泣きそうになる。まるで心が温まっていくように感じる。
これが「幸せ」ということなのかな?
◇◇◇◇◇
つかつかと廊下を歩き続けるハル。暫く歩いていると次第に人気が無くなってきた。ハルが傍にいるのに少し不安になる。
私は思わずハルの首に抱き着く。私の不安に気づいたのかハルは私を支える手に力を込めてくれた。
「ここまで来れば大丈夫だな」
「え?」
ハルはそう言うと小さく瞬間移動の魔法の呪文を唱えた。
……ハル、いつから瞬間移動の魔法を使えるようになったのかしら。
気が付くとそこは、学園では無かった。いつの間に夜になっていたのだろうか。辺りは暗くなっていて、空には星が瞬いていた。
「ここって……」
「僕のお気に入りの場所。いつかアリーヤ様と行きたいと思っていたんだ」
「綺麗……」
「でしょ。アリーヤ様とここに来れて良かった。ありがとう」
……それはこっちのセリフだよ。ハル、本当にありがとう。ハルとここに来れて良かった。
「……アリーヤ様。僕はずっとアリーヤ様を好きでいるよ。永遠に。……今じゃなくて良い。僕と、結婚してくれますか」
「……はい」
声が震えているのが自分でも分かる。まさか、こんなことを言われるとは思わなかった。涙が私の頬をつたるのが分かる。
好き。ハルが本当に好き。誰にも取られたくないし、私だけを見ていて欲しい。
自分がこんなに嫉妬深くて独占欲が強いとは思わなかった。自分の初めて知る感情に少し戸惑ってしまう。
「……ハル、好き。大好き」
「……僕も。アリーヤ様、愛している」
ハルにそっと抱き締められる私。思わずハルの首に抱き着く。今、この瞬間が本当に愛しくて、幸せだと感じる。
恋がこんなにも苦しくて、甘くて幸せなものだとは思わなかった。
ハル、私は貴方と出会えて良かった。ハルがいたから色々大変な目にあっても頑張れたんだ。ありがとう。
◇◇◇◇◇
まるで夢を見ているようだ、よく小説やら何やらで聞く表現。僕はこの文が目に入るといつも「どうせこんな風に思うわけない」と思っていた。だから僕自身少し戸惑っている。
まさか、アリーヤ様が僕を好きでいてくれて、今隣にいるなんて信じられない。これこそまさに夢のようだ。
これからずっとアリーヤ様と一緒にいたい。離したくない。ずっと傍にいて欲しい。抱き締めたい。
アリーヤ様が本当に僕のことを好きなのか不安になる。離れていってしまうんじゃないかと今も恐怖してしまう。
だけど僕は信じるよ。アリーヤ様が僕を置いていくわけないと。
アリーヤ様、本当に本当に愛している。一生愛していると誓おう。だから、僕の傍から離れないでね。
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