番外編 〇〇視点

 わたくしには前世の記憶があります。前世のわたくしは地球の日本というところに住んでいました。わたくしに前世は男性でした。そして、前世のわたくしは十八歳の誕生日にトラックに跳ねられて死にました。まぁ、よくあるやつですわね。




 わたくしが前世の記憶を取り戻したのは、三歳の誕生日。家族の皆様とお祝いしていたところに突如思い出したのです。


 そして、ここは乙女ゲームの世界。わたくしが前世のときにプレイしていたものですわ。まさか、自分の身にそんなことが起こるなんて思いもしなかったので、大変驚いております。わたくしが転生したのは、乙女ゲームの世界の〇〇です。


 わたくし、大変嬉しかったです。何故なら、乙女ゲームのに転生出来たのだから。




 だけど、何かがおかしいのです。そう、悪役令嬢です。悪役令嬢の名前はアリーヤ・シラン・マノグレーネ。彼女はアッシュブロンドの髪の毛とアメジスト色の瞳が特徴の可愛らしい女の子です。彼女は悪役令嬢らしかぬ美しい顔立ちですが性格は可愛いとは言えません。ハッキリ申し上げて、彼女の性格は最悪でした。


 わたくしはアリーヤ様に沢山虐められていました。わたくしは大変辛いと思っていましたが、それでも前を向いて頑張っていました。


 何故なら、全ては攻略対称を振り向かせる為!


 ええと、ごほん。


 それはともかく、わたくしアリーヤ様に虐められていてもいつもにこりと笑っていました。




 ところがある日、アリーヤ様は変わってしまいました。


 わたくしに突然、過ちを謝って来たのです。お茶会にわたくしだけでなく、他の令息達も呼んで。


 そう来たら、わたくし赦すしかありませんよね? だからわたくし、にこりと微笑んでアリーヤ様を赦したのです。


 わたくし、偉いでしょう?


 それにしても、何故彼女はあんなにも性格が変わったのでしょうか。彼女のせいでわたくしに気があった攻略対称達は全員アリーヤ様に目移りしてしまいました。




「……どうしたら攻略対称達を振り向かせられるのかしら?」




 そうだわ! アリーヤ様に危害を加えれば、きっとエドマンド王太子殿下が次はわたくしだと思って心配してくれるんじゃないかしら。そして、きっとわたくしを守って下さるわ!




 わたくしは早速授業を抜け出して、アリーヤ様の教室へ向かいました。アリーヤ様は何かしています。どうやら、魔法の練習中みたいですわね。


 これはいいチャンスですわ。


 わたくしは上位風魔法に、上位睡眠魔法を混ぜて使うことにしました。




『サードディンド』




 わたくしは小さく呪文を唱えました。結果、魔法は成功。


 わたくしの作戦は成功したかと思いました。ですが、何がどうなったのでしょう。




 エドマンド王太子殿下も他の令息達も皆アリーヤ様のところへ行きました。


 何故皆わたくしを守ってくれないのでしょう。わたくしはヒロインなのに。理解が出来ませんわ。




 わたくしはアリーヤ様をこのあとどう調理しましょう、と考えながら魔法書を読み漁ることにしました。

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